ヨーロッパの各国で2022-23シーズンが幕を開けた。カタール・ワールドカップを見据えれば、やはり日本人選手の動向が気になるね。

 日本代表には、DFや守備的MFではヨーロッパで活躍している選手がいる。遠藤や守田、吉田、冨安らだ。守備はテクニックよりもフィジカルが優先されるし、6月のブラジル戦でもある程度抑えられたように、日本には守りの文化はある。

 問題は攻撃的な選手だ。南野や三笘、伊東、堂安らレベルの高いリーグでプレーする選手には特に注目したい。そこで結果を出せるかどうか。

 よく“欧州組”とひとくくりにされるけど、国によってレベルは違う。ベルギー代表はあまりベルギーリーグにいないし、スコットランド代表は多くがイングランドにいる。代表選手は、母国よりハイレベルな国でプレーしている。

 ワールドカップでの戦いは、当たり前の話だが、強豪国の代表選手と戦うということ。たとえばドイツやスペインの代表選手と争ってスタメンを取れないと、強い国と戦っても勝つことはできない。

 攻撃的な選手には、何よりも結果が求められる。昨シーズンまでリバプールで南野の同僚で、バイエルンに移籍したマネは、すでに開幕戦で点を取っているよね。日本人選手にもゴールを求めることが大事だと思う。
 
 10日のUEFAスーパーカップで、鎌田と長谷部がいるフランクフルトはレアル・マドリーに0−2で敗れた。鎌田は良いプレーをしていたけど、決定機は決められなかった。あのプレーを「相手GKのクルトワが凄かった」というのは、ちょっと違うと思う。

 ワールドカップでは、相手がクルトワだろうがゴールを決めないといけない。ドイツにもスペインにも、上手いGKはいる。「GKが凄かったから、得点できなくても仕方ない」と言っているうちは勝つことはできないよ。フランクフルトは負けたのだから、鎌田が良くてもほめることはできない。

 今シーズンは、ワールドカップで対戦するドイツやスペインのリーグに日本人選手がいる。イングランドやフランス、ポルトガルも含めて、強豪国の代表選手相手にどれくらい戦えるか。その視点で見れば、ワールドカップに向けて面白いと思う。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、76歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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