水着で運転するのは違反?

 夏に海にいくと、近くの道路を水着や半裸状態で運転しているドライバーを見かけることもあります。
 
 そのような肌の露出の多い服装でクルマを運転しても問題にはならないのでしょうか。服装において、どこからが法律に抵触するのでしょうか。

夏の海辺で見かける水着姿で運転する人…。これは問題ないのか?

 海の付近では半裸や水着姿で自転車を漕いでいる人を見かける機会があり、なかには同様の姿でクルマを運転している姿を見かけることもあるようです。

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 では、水着などの姿でクルマを運転することは法律上問題なのでしょうか。

 ある警察関係者は次のように述べています

「水着で運転することに関してはとくに問題なく、違反になることは基本的にありません。

 しかし、とくに男性の場合は、例えば海パン1枚で運転してしまうと、周りから見た際に、裸同然の格好で運転しているように見えてしまいます。

 道路交通法上は安全に運転ができるようでしたら問題はないですが、公然わいせつ罪などの刑法で訴えられてしまう恐れもあります」

 公然わいせつ罪とは、刑法第174条で定められており、文字通り公然の場でのわいせつな行為を取り締まる法律です。

「公然」とは、「不特定又は多数の人が認識することのできる状態」を指します。
 つまり、屋外はもちろん、クルマの車内や自宅であっても、不特定又は多数の人が認識していれば公然の場に該当します。

 わいせつな行為とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」を指します。

 もし「全裸」の状態でクルマを運転した場合、公然わいせつ罪に該当する可能性が極めて高くなり、クルマのなかだからといっていい逃れすることも難しいでしょう。

 公然わいせつ罪で取り締まりを受けた場合、「6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」の刑罰を下されることになります。

 ケースバイケースにはなりますが、繁華街、ビジネス街、住宅街などを上半身裸のような状態で運転していると、男女問わず上記のような罪に問われるおそれがあります。

 そのため、海の近くであったとしても水着で運転することは極力控え、羽織りものや着替えの服装を持っていくのが良いでしょう。

クルマを運転するうえで適切な服装は?

 水着での運転は道路交通法上は問題ないものの、刑法に該当してしまう恐れがあることがわかりました。

 では、クルマを運転するうえで適切な服装はあるのでしょうか。前出の関係者は以下のように話します。

「トップスやボトムスに関してはとくに指定はしておらず、基本的にはどのような格好でも構いません。

 しかし、履物に関しては、下駄やサンダル、裸足の場合、安全運転に支障が出てしまう恐れがおおいにあります。

 そのため、『安全運転義務違反』に該当するだけでなく、各都道府県で定められている『公安委員会遵守事項』に違反する可能性もあるため、履物はスニーカーなど動きやすいものが好ましいです」

ビーチサンダルなどで運転するのはNG

 安全運転の義務は、道路交通法第70条に以下のように定められています。

「車両等の運転者は、当該車両のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通および当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

 安全運転義務違反に該当した場合、違反点数2点で大型車で1万2000円、普通車で9000円の反則金が科せられます。

 また、東京都の「道路交通規則」第8条の2項には「木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等を運転しないこと」とされています。

 同様に、大阪府でも「げたまたは運転を誤るおそれのあるスリッパ等を履いて、車両を運転しないこと」と定められています。

※ ※ ※

 前出の関係者によると、「クルマのなかは『公的エリア』に該当する」といいます。
 
 車内はプライベートな空間ではありますが、周囲に人がおり、不特定又は多数の人が認識することのできる状態であれば、車内も立派な公的な場となります。

 服を脱いで運転すれば、公然わいせつ罪に抵触する可能性があるだけでなく、周囲の人々を不快にさせ、迷惑を掛けることもあります。運転中もTPOを意識し、その場にあった服装を心掛けることが大切です。