昭和時代、小学生に大人気だった謎の“生き物”「モーラー」。細長く全身をオレンジ色の毛に覆われているようにも見えるこの“生き物”は、現在も変わらず販売されており、世代を問わず愛されています。

 人懐っこくて、かわいらしいこの“生き物”の正体とは? さらに、昭和から令和にかけて幅広い世代から愛される魅力について、「モーラー」を販売する増田屋コーポレーションの木島さんに話を聞きました。

1975年に発売されたモーラー

――販売のきっかけは?

【木島さん】 1975年に、当時の社長がウネウネと動く謎の“生き物”「モーラー」を発見し、販売に至りました。虫みたいな見た目なのですが、手芸用品としても使われるモールの形をした“生き物”です! ニョロニョロと動くようになっており、不思議なかわいらしさがあります。

――どこで発見されたものなのでしょうか?

【木島さん】 それは企業秘密です(笑)。基本的に形は変わっていないのですが、昔のモーラーは遊んでいるうちに毛が抜けていき、段々やせていく現象がありました……。現在の4代目モーラーはナイロンでできているために毛並みがよく、抜けにくい仕様となっています。

色にも変化があります。1975年に登場した初代は、オレンジの1色で発売しました。のちにモスグリーンも販売しましたが、やはりオレンジ色の印象が強く、その後はオレンジのみで販売しておりました。2021年に発売された4代目からは、オレンジ、パープル、グリーンの3色が登場しています。

2021年に発売されたモーラーパッケージ
2021年に発売されたモーラー

――当時はどれくらいの人気があったのでしょうか?

【木島さん】 初年度の1975年は、1か月で180万個ほど売り上げました。おもに百貨店や小売店、遊園地のワゴンなどで売られて、春休みや夏休みなど、子どもたちの長期休みになると実演もしていましたね。当時は380円で販売しておりました。2代目からは430円となり、現在も同じ価格です。

――どういった方がモーラーで遊ぶのでしょうか?

【木島さん】 昭和のころは、おもに小学生にかわいがられていましたね。特に女の子には、あやとりなどの手遊びのような感覚で遊んでいただいていました。なかには「どうしたら生きているように動かせるの?」なんて興味深々の子もいたり。あとは余興で使われる方や、手品で披露される方もいましたね。

現在は、ネットで見て購入される方が多いです。どうやら、TikTokで紹介した方がいらっしゃるみたいで……。その影響なのかネットからの注文が多く、購入者もSNSに精通している20代前後の方が多いですね。

――モーラーの影響を受けて誕生した商品はありますか?

【木島さん】 1996年発売の「じゃれっこモーラー」です。電動で不規則に動く、ボール遊びができるニュータイプのモーラーとして販売されました。こちらもモーラーと同様、ロングセラー商品となっています。

じゃれっこモーラー 

――モーラーの魅力とは?

【木島さん】 達成感でしょうか。「もっと上手になりたい!」という気持ちから「努力すると上達する」という結果につながるサイクルが、わかりやすく可視化できるアイテムだと思います。あとは、かわいらしさですね。触れるたび、ペット感覚になっていきます(笑)。

世代を問わず遊んでいただけるものなので、発売当初に遊んでいた方が母親となり、「子ども売り場で発見して懐かしい気持ちになりました」という声をいただいたこともあります。親子の間で引き継がれ、遊んでいただけることも魅力のひとつだと思います。

 現在、増田屋では、パズルのようなパネルを組み合わせて作ったコースの上で電車を走らせる「パネルワールドシリーズ」も販売されています。自由にコースアレンジができると、男女問わず人気を博しているこちらの商品も、モーラーと同様に「達成感」を楽しめるのだそう。

 昭和から令和にかけて、たくさんの子どもたちの成長をそっと見守ってくれたモーラーは、現在も人々のそばにそっと寄り添ってくれる存在です。なんともいえないかわいさが魅力のモーラー、この夏のおともにいかがでしょうか?

(取材・文=弘松メイ)