人気音楽ユニット「YOASOBI」のキービジュアルなどを手がけたイラストレーター・古塔(ことう)つみさんが2022年8月8日、作品をめぐる騒動以降初めて、約半年ぶりにインスタグラムを更新した。

1月下旬からネット上で、既存作品や写真をトレースした盗作の疑いが相次いで浮上。イラストを手がけた商品の販売中止や一時見合わせが相次ぐ騒動へ発展していた。

騒動を経て...「新しいスタジオ」設立

古塔さんは若い女性を描いたイラストで人気を博し、キャッチフレーズを「あっ、女子しか描けません。すてきな人しか描けません」としていた。

騒動の発端となったのは、古塔さんの個展で販売された作品の数点にトレースの跡が見られたという情報が、暴露系YouTuber・コレコレさんによって1月28日に拡散されたこと。

そのほかの作品についてもツイッターで指摘が相次ぎ、30日には雑貨メーカー「マークス」が古塔さんの絵を表紙に起用した手帳の販売を一時停止(その後中止)した。

トレース疑惑について古塔さんは2月3日、メッセージ画像をツイートして否定。「引用・オマージュ・再構築として制作した」とし、模写に盗用の意図はないと主張した。権利者の許諾なく投稿、販売したと詫びる一方、クライアントワークは「全てオリジナル作品」と訴えた。

しかし、企業とのコラボ商品などで使用された絵もトレースの疑いがあるとして騒動は収束せず。コラボ商品の返品対応や販売の一時見合わせ、キービジュアルの起用中止など、各所が対応に追われた。

古塔さんは3月7日までにツイッターアカウントを削除。唯一の活動場所となるインスタは、1月19日の投稿を最後に更新が途絶えていた。フォロワー数は騒動を受けてもなお約28万人を抱える。

そして8月8日、約半年ぶりにインスタを更新し、複数のイラストを連続再生させた動画を投稿した。投稿文は英語で記しており、「新しいスタジオを立ち上げ、実験的な作品を含め制作しています」と近況を報告している。

「すべては描くことで」

一時期は手描きでの制作に没頭していたとしつつ、版画の一種であるシルクスクリーン印刷にも意欲を示し、「いつかお見せできればと思います」と呼びかける。古塔さんは、

「例外はありますが、これからはインスタグラムの投稿も、アナログの絵をデジタルで再現したものが多くなると思います。リアルな作品は、リアルな世界に存在するのです」

と今後の方針を述べた。

さらに同日にストーリーズを2度更新し、「知っている人が知っていればいいと思う」「すべては描くことで」と意味深ともとれる言葉を投稿している。