ヤクルトが本拠地・神宮で巨人に同一カード3連敗を喫した。2位・阪神と8.5ゲーム差。まだ慌てるような状況ではないが、首位を快走していた前半戦に見られなかった綻びも見える。

生命線の救援陣に陰りが

「救援陣が崩れて試合を落とすケースが増えている。ヤクルトは完投能力のある投手が少ないので救援陣に負担が掛かる。しかも、新型コロナウイルスの集団感染で清水昇、田口麗斗、大西広樹らセットアッパーたちは陽性判定を受けて7月に2週間以上離脱している。復帰しましたがまだ万全の状態ではないでしょう。夏場でさらに疲労がたまるのでここが踏ん張りどころですね」(スポーツ紙デスク)

巨人戦は救援陣で競り負けた典型的なケースだった。2022年8月6日の2戦目は同点の8回に登板した清水昇が先頭打者・丸佳浩に四球を出したのをきっかけに1死三塁からボランコの左犠飛で決勝点を献上した。

7日の3戦目も2点のビハインドをサンタナの満塁弾で試合をひっくり返したが、逃げ切れない。2点リードの7回に梅野雄吾、田口が4本の長短打を浴びて4失点。巨人打線の勢いを止められず逆転負けを喫した。

コロナ禍でチーム状態が一変

救援陣はヤクルトを支える生命線だ。交流戦でパリーグの全球団に勝ち越して優勝した際は、継投策で11試合連続無失点と抜群の安定感を誇った。高津監督も「この交流戦を通じて先発ピッチャーから最後のマクガフへ、どうつなぐかというところはよくできたと思います。リリーフみんながMVPだと思っています」と優勝監督インタビューで絶賛していた。

だが、7月はコロナで主力選手が集団感染した影響もあり7勝13敗と大きく負け越し。救援陣も月間防御率4.52と苦しんだ。8月も5試合消化時点で救援陣の月間防御率は7.02。2位の阪神が0.76と安定しているのと対照的だ。

打線は三冠王を狙える位置につける村上宗隆に加え、サンタナ、オスナとポイントゲッターがそろっており、得点力はある程度計算できる。3番を打つ山田哲人の状態が上がらないのが気がかりだが、経験値のある選手なので過度に心配する必要はないだろう。リーグ連覇に向け、救援陣の踏ん張りが求められる。(中町顕吾)