離婚に向けた話し合いを進めるにあたり、慰謝料・財産分与などの条件について話がこじれてしまうケースは多くあります。そんな中で、苦労して取り決めた条件を確実に相手方に守ってもらうにはどうしたらよいのでしょうか。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、離婚条件を取り決める方法について理崎智英弁護士に解説していただきました。

夫が離婚条件として解決金1,000万円を提示

相談者のたんぼさん(女性・仮名)は、半年前に夫から「他に好きな女性ができたから離婚したい」と言われてしまいました。たんぼさんに落ち度はなく、不貞の証拠はありません。

それからたんぼさんは離婚を拒み続けてきましたが、3ヵ月前に夫から下記の条件を口頭で言われました(その発言は録音しています)。

離婚解決金として1,000万円支払う 離婚後は顔を合わさないよう、職場も居住地も変える

はじめはそれでも離婚を拒みましたが、現在は上記の条件で離婚に応じようと考えています。

夫は実家が資産家のため1,000万円を支払うことは可能かと思いますが、たんぼさんは「夫が早く離婚したい一心で口から出まかせで言っているのではないか」と不安に思っています。

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

(1)夫が後ほど上記の条件を撤回した場合、夫の発言の録音データがあっても1,000万円を受け取れなくなるのか。

(2)夫に確実に条件を守らせるにはどうすればよいか。

確実性を高めるために、離婚協議書を作成

(1)協議離婚は、当事者間の合意によって成立します。当事者の一方が離婚に応じない場合には、協議離婚はできません。また、協議離婚の場合、離婚条件についても、最終的には、当事者が合意した事項のみ法的な拘束力があります。

そのため、離婚前に夫が1,000万円という条件を撤回した場合、たとえ夫の発言の録音データがあったとしても1,000万円を受け取ることはできません。ただ、録音データがあれば、離婚調停や離婚裁判を起こせば、1,000万円の財産分与が認められる有力な証拠にはなり得ると考えます。

(2)離婚の条件について、離婚協議書を作成しておけば、仮に夫が1,000万円を支払わなかった場合であっても、財産分与の審判等において1,000万円の支払義務が認められる可能性が高くなります。

また、離婚の条件について当事者間の離婚協議書ではなく、公正証書を作成しておけば、仮に夫が1,000万円を支払わなかった場合、調停や審判、訴訟という裁判所の手続を経ることなく、公正証書に基づいて、夫の財産(不動産、預貯金、有価証券等)や給与を差し押さえることによって、強制的に回収することが可能となります。

離婚の条件は公正証書にすることがお勧め

離婚をする際には、離婚の条件(財産分与、養育費、慰謝料)について、離婚時に書面で明確にしておくことが重要です。離婚を急ぐあまり、離婚の条件は決めないという方も多くいらっしゃるかと思いますが、離婚後に財産分与や養育費について決めようと思っても、相手と連絡が取れないといったケースも良くあります。

特に、養育費はお子さんの養育にとって必要なお金となりますので、お子さんが困らないよう、毎月の金額や終期(いつまで支払ってもらうのか)について取り決めをしておくことが重要です。

また、進学の際の費用負担(半額ずつ負担するのか、あるいは、収入に応じて按分して負担するのか等)についても取り決めをしておくべきでしょう。

書面を作成する際には、できれば、公証役場において公正証書にしておくことをお勧めします。公正証書にしておけば、仮に、相手が財産分与や養育費を支払わなかった場合、調停や裁判といった手続を経ることなく、相手の資産や給与を差し押さえることができるためです。

離婚協議書や公正証書の内容にお困りの際には、弁護士にご相談されることをお勧めします。