●第12世代Core搭載モバイルノートパソコンVAIO SX12」登場!
VAIOは7月、新型のモバイルノートパソコン「VAIO SX12」を発売しました。
基本アーキテクチャーを大幅に刷新し、性能を大きく向上させたIntelのCPU「第12世代Core」シリーズを搭載しているのが最大の特徴です。

そのほかにも、
・約899g〜940gの軽量設計(各モデルの構成により変動)
・A4サイズ以下の筐体に12.5インチのFHD(1920×1080ドット)ディスプレイを搭載
・小型筐体でも19mmフルキーピッチのキーボードを搭載
・天板に東レとの共同開発によるUDカーボンを採用し高剛性と高弾性を実現
・連続駆動時間最大26時間(公称値)の大容量バッテリー

このような特徴があり、長時間のモバイルシーンでも快適に利用できる設計となっています。

この度、筆者はVAIO公式オンラインストアにてVAIO SX12のカスタマイズモデルを購入しました。
カスタマイズした構成は以下の通りです。

・OS : Windows 11 Hone 64bit
・CPU : Core i7-1260P(12コア/16スレッド)
・RAM : 16GB(LPDDR4X 8GB ×2)
・内蔵ストレージ : 1TB SSD(PCIe 4.0対応NVMe接続)

今回は本モデルを使用し、VAIO SX12の外観レビューやファーストインプレッションをお伝えします。


「最小のVAIO」の外観や機能性を徹底レビュー!



●VAIOシリーズの高い品質を保証する「安曇野FINISH」
はじめに梱包外観からです。
VAIO SX12の梱包は非常に小さく、本体が収まる程度のサイズしかありません。

ACアダプターなどは別の箱に入っており、取扱説明書なども必要最小限に抑えられ、非常にスッキリとした梱包内容です。


外箱自体が15インチクラスのノートPC程度の大きさしかない



外箱の厚みも非常に薄く、28mmしかない



開けるとVAIO SX12本体と取扱説明書などが入っている



本体にはクリーニングクロスも付属


別箱となっている標準のACアダプターは65W出力のもので、パワー半導体に窒化ガリウムを用いることで小型軽量を実現したものです。

実際に手に取ると出力に対して非常にコンパクトに仕上がっており、ACアダプター部分とコンセントプラグが一体化しているためケーブル類も少なくまとめられており、持ち運びに便利です。

一方で、コンセントプラグがケーブルではないために、差し込む場所には若干の注意が必要です。

コンセント差込口が狭い場所にあって差し込めないケースや、
電源タップ(延長コード)の差込口に差し込んだ際に、ほかの差込口を塞いでしまう可能性もあります。


付属のACアダプター。単体でも予備用として販売されている



持つとこのくらいのサイズ。非常にコンパクトだ



ACアダプターの重さは162.5g。比較的軽量だ



充電にはUSB Type-Cを採用。本体のUSB Type-C端子は2基あり、どちらでも充電可能


VAIOの大きな特徴でもあり、同社がプライドとして掲げているのが「安曇野FINISH」と呼ばれる品質管理です。

VAIOはかつてソニーのPC部門でしたが、株式会社として独立した際に本社を長野県安曇野市にある工場に据え、
設計から組み立て、出荷まで、すべてを一括管理することで高い品質を保証する生産体制を整えました。

その厳しい品質チェックを行った証明として、この「安曇野FINISH」カードがVAIOに添付されています。


取扱説明書や保証書とともに品質保証カードが添付される



常に過酷な使用環境にさらされるモバイルノートパソコンだからこそ、品質と信頼性はとくに重要だ



●小型筐体でもフルキーピッチで使いやすいキーボード
それではいよいよ本体外観です。

本機は小型・軽量なA4クラスのモバイルノートパソコンの中でもとくに小さな製品で、本体サイズは幅約287.8mm × 高さ約15〜17.9mm × 奥行約205mmです。
現在ラインナップされているVAIOシリーズの最新機種の中でも最小となっています。

フットプリントではA4サイズのコピー用紙よりも小さく、ビジネスバッグのちょっとした隙間にも難なく入れられる大きさです。


天板はUDカーボンだが、カメラやWi-Fiアンテナなどが格納されている上部のみ樹脂部品となっている



メッキ加工された天板のVAIOロゴが美しい



側面から見ると、意外と複雑な楔形をしていることが分かる



A4コピー用紙と比較。縦横ともにVAIO SX12のほうが若干小さい


これだけ筐体サイズが小さいと気になるのはキーボードサイズです。
小型軽量のノートパソコンというと、キーピッチ(文字キーの中心から隣の文字キーの中心までの距離)が14〜16mm程度しかなく、
さらにキー配列も特殊で、頻繁に使用するキーが非常に小さくなっているなど、タッチタイプに向かない仕様のものも多くあります。

しかしながらVAIO SX12のキーピッチは、デスクトップ用キーボードと同じ19mmのフルキーピッチを確保しています。

テンキーなどは省略されFnキーとの併用にはなっていますが、タイピングで主に使用する文字キーは配置のクセが非常に少なく、
オフィス作業でのブラインドタッチでもまったく支障がありません。

キーストロークも1.5mmを確保しており、デスクトップPCとほぼ変わらない感覚でキーボードを利用できる点は高く評価できます。


非常に素直なキー配置だが、矢印キーの配置の関係上、スペースキーの並びだけ狭くなっているのは妥協が必要だ



キーボードはアイソレーションタイプとなっており、キートップが僅かに凹んだ形状であるため非常に打鍵しやすい


キーボードは標準モデルの場合、かな文字表記のある日本語キーボードのみとなっていますが、
VAIO公式オンラインストアなどで選択できるカスタマイズモデルでは、かな文字表記のない日本語配列キーボードや英字配列のキーボードも選択できます。

キーボードにはバックライトもあり、暗い場所でも安心して作業が行なえます。


筆者が購入したのはかな文字なしの日本語配列キーボード


小型の筐体にフルキーピッチのキーボードを配置できたのには理由があります。

ノートパソコンでは筐体側面にUSBコネクターや各種カードスロットなどが配置されています。
薄型軽量に作られたモバイルノートパソコンの場合、このコネクター類とキーボードが干渉しないように、キーボード左右の余白を大きく取る必要があります。

しかしVAIO SX12では独自技術によってこの余白をなくし、コネクターのすぐ上までキーボードを配置することに成功しています。

十分な筐体剛性を確保しながらこういった配置を行うことは非常に難しく、他社のモバイルノートパソコンではほとんど見られない設計です。
VAIOの高い技術力を感じさせる部分の1つでしょう。


本体サイズギリギリまでキーボードを配置することで、小型筐体とフルキーピッチキーボードを両立させた



●VAIOらしさを強調する独特なヒンジ形状
本体重量は公称値で約899g〜940gとなっていますが、筆者購入のモデルでは929gでした。
11〜13インチ程度のディスプレイを持つA4クラスのモバイルノートパソコンの中でも比較的軽く、持ち運びで不便することはありません。


キーボードや通信モジュールの構成などで重量が若干変動する



片手でもラクラク持てる


ディスプレイには12.5インチのFHD(1920 × 1080ドット)液晶ディスプレイを採用し、画面には反射を抑えたアンチグレア処理が施されています。

一般的な軽量ノートパソコンでは、ディスプレイ面を片手で開けようとするとキーボード面が浮き上がってしまうことが多々ありますが、
本機では難なくディスプレイ面を片手で開くことが可能な点もメリットの1つです。


このように片手でも本体が持ち上がることなく簡単に開ける



アンチグレア処理は優秀且つ繊細で表示品質が落ちるようなことはない


ディプレイ部と本体をつなぐヒンジ部の可動形状にも工夫があるのがVAIOシリーズの大きな特徴です。

ディスプレイを開くとヒンジ部が「足」になるように設計されており、本体側が持ち上がってキーボードに丁度良い角度が付くようになっています。

これによってタイピングが楽になるだけではなく、本体底面のヒンジ側に隙間ができることで排熱システムも効率的に機能するようになり、
Core i7のようなパワフルなCPUでも適切に冷却することができます。


正面から見ると普通のヒンジ機構に見えるが……



ヒンジ部の可動によって本体側がここまで持ち上がる



ヒンジ部拡大。独特の形状はVAIOらしさを象徴する良いデザインアクセントにもなっている



本体を支えるディスプレイ側が傷つかないように透明なシリコンの足が付いている



このようなヒンジ機構にもかかわらずディスプレイが180度開く点は素晴らしい



本体底面のヒンジ部側に冷却用の吸気口がある。ディスプレイを開くことでこの部分が大きく持ち上がり、吸気が妨げられない構造になっている



吸気口近くにはモデルによってSIMスロットも搭載される(筆者購入モデルは非搭載



●USB Type-Cを2基装備するなど端子類が豊富で使いやすい
本体向かって左側面には、

・ケンジントンロック用ホール
・排気口
・USB端子(USB 3.0)
・ヘッドセット対応ヘッドホン端子
これらが並びます。

本体向かって右側面には、
・USB端子(USB 3.0/USB充電・BC 1.2 OUTに対応)
・USB Type-C端子(Thunderbolt 4、USB 4、USB 3.1、DisplayPort Alternate Mode、USB Power Delivery対応)×2基
・HDMI端子
・LAN端子
これらが並びます。

薄型筐体でもアダプター不要でLANケーブルを接続できる点や、左側面にもUSB端子を備える点は便利です。

一方で、SDカードスロットやmicroSDカードスロットがない点は少々残念です。
デジタルカメラやスマートフォンからの画像取り込みなどには、Wi-FiやUSBケーブルでの接続を用いるのが無難でしょう。


左側面の排気口はかなり大きく取られている



右側面には各端子がズラリと並ぶ



LAN端子は開閉式になっており薄型形状を犠牲にしていない


ディスプレイ上部には顔認証システム「Windows Hello」に対応した207万画素CMOSセンサーのカメラが搭載されています。

オンライン会議やビデオチャット時に背景をボカしたり、明るさを自動調節するVAIOオリジナルアプリもプリインストールされているため、購入してすぐに不自由なく活用できるのも良い点です。


カメラには手動式の物理シャッターがある。不使用時は閉じておくことでセキュリティ面も安心だ


また、電源ボタンには指紋認証機能もついています。
電源を入れると同時に指紋認証が完了するため、煩わしいPINコードの入力などが不要です。

仕事や職場の関係でカメラが使えず顔認証が利用できない人でもセキュリティで妥協する必要がありません。


複数の生体認証システムを選択できる点は非常に良い



●性能や機能性は文句なし。ネックは価格のみ
以上、本体外観や機能性を画像とともに紹介しました。

モバイルノートパソコン市場のメインは13インチ台のディスプレイを搭載したものが多く、VAIO SX12は画面サイズだけで見るならば若干物足りなさを感じるかもしれません。

しかしながら、それを補って余りある筐体サイズのコンパクトさに加え、13インチ台のモバイルノートパソコンと遜色のないキーボード、そして高剛性と軽量性を兼ね備えており、
モバイルノートパソコンが至上命題とする可搬性と実用性(作業性)を非常に高いレベルで両立させています。

しかも、本機はカスタマイズによってCore i7や32GB RAM、2TB SSDといったハイエンドな構成も選択可能で、性能面でも不安がありません。

・小型軽量のモバイルノートパソコンが欲しいが性能で妥協したくない
・バッテリーを気にせず1日ずっと使えるモバイルノートパソコンが欲しい
・小型でもキーボードの使いやすいモバイルノートパソコンが欲しい
・指紋認証や顔認証など、利用環境に合わせたセキュリティシステムを使いたい
・品質やサポート体制で不安のない国内メーカーのモバイルノートパソコンが欲しい
・本体デザインでも妥協したくない

VAIO SX12は、このような人にオススメのモバイルノートパソコンです。

唯一、若干のネックと思われるのは価格です。
VAIO公式オンラインストアでの最小構成などを選択すれば17万円前後から購入できますが、
「Core i5/8GB RAM/256GB SSD」という標準的な構成を選択すると、21万円前後となります。

筆者が購入した「Core i7/16GB RAM/1TB SSD」の構成の場合は28万円超となり、構成部品相応のハイエンド価格になります。

VAIO公式オンラインストアでは、新規会員登録で最大25,000円分の割引が適用されるクーポンコードの発行なども行っているため、
こういったキャンペーンを上手に利用して購入することをオススメします。




執筆 秋吉 健