スマートフォンは画面をタッチ操作するUIで成功したデバイスです。
パソコンなどでメインに使われているキーボードも、画面上に表示されるソフトキーボードで操作します。

しかし以前のスマートフォンは、ミニキーボードを本体に内蔵したモデルも多くありました。

スマートフォンが登場した当初は、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)に携帯電話機能を搭載したスタイルのデバイスが多かったため、PDAと同じスタイルの物理キーボード内蔵モデルが存在していました。
スマートフォン黎明期の人気機種BlackBerryは、メッセンジャー型デバイスとして、テキストメールを中心としたニーズだったため、本体に物理キーボードを内蔵していました。

スマートフォンはiPhoneとAndroidが主流となったことで、画面のタッチ操作がメインとなるデバイスがスタンダードになります。

スマートフォンは、大画面化、処理速度の高速化により快適な操作、ソフトキーボードのレイアウトの自由度や予測変換の効率化といった向上により、ソフトキーボード入力環境は十分な実用性になりました。

こうした状況から物理キーボード搭載のモデルはついに絶滅してしまいます。

それでも、かつてキーボード内蔵スマートフォンを利用していたユーザーには、物理キーボード搭載スマートフォンへのニーズがあります。

そのようなユーザーに向けて、クラウドファンディングKickstarterにて、uniherhzによる物理キーボード搭載スマートフォン「Titan Slim」が発表され、クラウドファンディング出資者へ製品版が発送されましたので、紹介します。


Titan Slom


Titan Slimは、4.2インチディスプレイとAndroid OS11を搭載したスマートフォンです。
そして画面の下部に物理キーボードを搭載しています。
スタイルとしては、かつてのキーボード付きスマートフォンBlackBerry KEY2などを彷彿させるストレート型スマートフォンになっています。

仕様としては、
・CPUにHelio P70
・メモリ6GB、ストレージ256GB
・デュアルSIM
・シングルカメラ(4800万画素)
このように性能としては高くはありませんが、SNSやブラウザ、動画視聴程度であれば、遅延もなく、実用性も問題ありません。


キーボード部分


最大の特徴である物理キーボードですが、
キートップは小さいものの、傾斜などが工夫されており、クリック感も適度にあるため、入力しやすいモデルです。かつてのキーボード付きスマートフォンを使っていたユーザーであれば、納得できるキーボードの完成度ではないでしょうか。

リリースされた状態でも日本語に対応はしていますが、さらにカスタマイズして利用するのがお勧めです。

アプリ「AquaMozc for Titan」を導入して「Shift」と「Ctrl」キーの位置を交換する設定ができます。
また端末の設定より「Sym key」を「Ctrl」に設定、「Fn Key」を「Tab」に設定に設定することで、大幅に入力しやすくなります。
さらにタッチセンサー内蔵のホームキーの誤動作を防ぐために、設定より「HOMEキー機能」を「ロック画面をダブルタップします」を選択することをお勧めします。


アプリ「AquaMozc for Titan」の設定画面


物理キーボードモデルのメリットは、キーボードで入力しながら思考をまとめることだと感じています。

原稿執筆や書類作成をワープロやパソコンで入力する時代を経験したユーザーであれば、キーボードで文字を打ちながら入力することで思考をまとめていくという人も多いと思います。
そうした世代にとって物理キーボードは、思考ツールの一つと言っても過言でないほど、重要なアイテムでもあります。


キーボードの入力例


今はニーズのなくなった物理キーボード搭載スマートフォンですが、Titan Slimの登場でキーボード入力する愉しさ、キーを打つことで思考をまとめることのできるメリットや、新たに愉しさを知るユーザーが増えてくれることを望みます。




執筆 伊藤浩一