ちりも積もれば……。

【写真】チューブトップ姿でドラムを打つ前澤氏の今カノ・梅村妃奈子

 その資産は2000億円ともいわれる『ZOZO』創業者の前澤友作氏が、再び動き出した。

「前澤さんは、7月30日に『みんなで会社を作ろうプロジェクト』をスタート。“初期メンバー”を募集し始めました。彼のツイッターによれば、このプロジェクトに参加すると、以下の“特典”があります。1つ、会社立ち上げに参加できる。2つ、事業を一緒に作れる。3つ、報酬が期待できる。4つ、匿名で参加できる。5つ、限定記事が読める。
“今までにない新しいタイプの会社”にしたいと語っています」(経済誌記者)

 特典を見るかぎり、現状はなんてことはない“オンラインサロン”に見える。

2日で作り上げた月商7000万円のビジネスモデル

「30日の募集スタートから、31日時点で10万人を突破。8月2日には参加者は14万人を超えました。日を追うごとに今後も増え続けるでしょう。プロジェクトに参加し、コミュニティに入るには月額500円かかります。つまり前澤さんは単純計算で月商7000万円のビジネスモデルを、わずか2日ほどで作り上げた。もちろん準備期間やシステム管理などの費用はありますが、参加者がいなくてはこのビジネスは始まりません。ここまでの早さでメンバーを集めるのは前澤さんしか出来ないでしょうね」(同・経済誌記者)

 プロジェクトメンバーを募ったツイートには、強調するように“※”印で《社員募集ではありません》と綴っていた。

「このプロジェクトにおいて、前澤さんが参加者に求めているのは、《記事に対するコメントやいいねなどのリアクション》、《アンケートに回答して意思表示》、《事業の宣伝などのSNSシェア》、《その他それぞれの事業で随時相談》です。“ビジネス”の点では、《お手伝いをしてもらう度にそれに見合った報酬》があるとしていますが、具体的に、“何を”、“どの程度”やれば、“いくら”入ってくるのかは現状わかりません」(ITジャーナリスト)

 つまり、“会社ではなく”、ゆえに“社員ではなく”、“さまざまな手伝い”を求められ、何かすると“もしかしたら報酬がある”というコミュニティだ。

 たびたび有名人やインフルエンサーがツイッターなどのSNSで「オススメのアニメ教えてください」、「どこどこで美味しいごはん屋さん知ってる人いますか?」などと呼びかけ、それに答えが集まることがある。答える人たちは皆ファンであり、善意であり、お金は発生していない。

 これを“お金を支払って”やるということに、現状このコミュニティは近い。

「前澤さんの考え方やその発信を“学び”と捉える人もいますが、“参加すれば儲かる”と考える人のほうが圧倒的に多いのではないかと思います。しかし、《事業が成功したらその報酬が換金可能になり、みなさんにとってのビッグボーナスに》なので、それは当然現金ではなく、前澤さんが絡んだ“何か”です。

 このコミュニティは仮想通貨業界におけるNFTに続くトレンドとされている、分散型自律組織『DAO』です。ゆえに前澤さんはこのコミュニティを『MZDAO』としています。いわば“前澤さんの国”。DAOは本来、誰かをトップにするのではなく、参加者全員が平等な立場で組織が運営され、『ガバナンストークン』という組織内で使える通貨が発行されます。要するに前澤さんの言う“報酬”は基本的にこれになります。 “儲け”られる人が多ければいいですが……。

“1いいね”するたびに、アンケートに答えるたびに“いくらかもらえる”というような形になるかと思われますが、そんなものは微々たるものでしょう。“儲け”という額は難しいのではないでしょうか」(同・ITジャーナリスト)

 前澤氏はここ数年、“お金のない世界”、“お金に悩まない世界”を目指し、さまざまな取り組みをしてきた。その1つがツイッターによる“お金配り”だ。

気まぐれな報酬がたまにあるくらい

「“お金配り”に応募するには、前澤さんのツイッターアカウントをフォロー、そして該当ツイートをリツイートする必要がありました。これで前澤さんのツイッターアカウントは、日本一のフォロワー数に登りつめた。1000万超の人たちに今回のようなプロジェクトを“宣伝”出来るようになったというわけです。その結果が14万人というプロジェクト参加者です。

 おそらく今後、参加メンバーの一部には“参加ボーナス”など、なんらかの形でまた報酬が配られると予想されます。しかし、“まとまった報酬”と考えた場合、プロジェクトによる事業に、明確に、形ある成果を上げた人のみに支払われるでしょう。つまり、前澤さんと一緒に仕事が出来るようなレベルの“優秀な人”だけ。14万人の中にそんな人は極々一部でしょう。つまりそれ以外の人は、気まぐれな報酬がたまにある、くらいに思っていたほうがいい。しかも現状は“今参加したほうがいい”というような先行者利益も少なさそうです」(前出・経済誌記者)

 前澤氏が発信する“何か”に、いいねし、拡散し、アンケートに答える。もしかしたら報酬がもらえる。『みんなで会社を作ろうプロジェクト』と銘打っているが、もはや会社などではなく、前澤氏が作り上げた世界、『前澤経済圏』の中にいる従順な“民”といえるのではなかろうか。

 たった1人は“ちり”だが、それは積もって14万人。皆すべからく豊かに人生を送れることを祈りたい。