この記事をまとめると

■真夏の炎天下での洗車は人だけでなく、クルマにとってもいいことがない

■よって真夏の洗車は屋内で行うのがベスト

■不可能な場合やすぐに洗いたい時などに気を付けるべきことを解説する

人だけでなくクルマにとってもいいことがない

 自分で手洗いする洗車は、冬の寒い時期もさることながら真夏も大変である。洗い手としては暑さとの戦いだが、じつはクルマにとっても真夏の炎天下の洗車はいいことがない。

 ホースの水をかけているうちに水滴が外気の暑さ、ボディの熱さで蒸発し、乾き、その際にリング状の白いウォータースポット、イオンデポジットという塗装、ボディの焼き付き、シミを発生させてしまうのだ。これが、紫外線によるレンズ効果で塗装の内部にまで浸透する可能性があり、ちょっと磨いたぐらいでは落とせないから、やっかいなのである(もはやプロに任せるべき領域)。

 よって、真夏の洗車は、屋内で行うのがベストだが、そんな屋内、屋根付き駐車場に愛車を止めていて、直射日光の当たらない環境で洗車ができる人は少数派だと思われる。80年代、90年代の洗車ブームの火付け役の一人、洗車、メンテナンス関係の書籍、ビデオ、TV、ラジオ出演を担当してきた経験のある元洗車オタクの筆者も、自宅での洗車環境はずーっと屋外洗車なのである。

 では、屋外に止めてある愛車の夏の洗車はどうすればいいかと言えば、早朝、夕方から夜にかけて、直射日光が当たらない時間帯、あるいは曇りの日(曇りでも紫外線は地表に照射されているが)に行うのがいい。

 それでも気温はそれなりに高いはずだから、心得としては、ボディにホースの水をかけたら、速やかに水気を拭き上げることだ。ここでモタモタしていると、例のウォータースポット、イオンデポジット被害を誘発することになる。基本としては、直射日光が当たらない時間、環境、そしてボディが熱くなっていない状態で行うべきである。

ガソリンスタンドなどにあるブロー付き洗車機も有効!

 しかし、どうしても今、洗わなければならない……(デートやお出かけ前にクルマ汚れていてカッコ悪いなど)という場合、ガソリンスタンドなどの洗車機を使う手がある。すべての洗車機がそうではないかも知れないが、最新の洗車機は洗い行程のあと、ブロー行程(水気を吹き飛ばす最後の行程)があるので、洗車機から出たときには、ボディに付着した水気は最小限。その流れで速やかに水気を拭き取れば、ウォータースポット被害に関しては比較的安心である。

 そのウォータースポット被害だが、ボディコーティングでも水滴がコロコロできる撥水系ではなく、セルフクリーニング効果も高い、雨などがベターッとした水膜になり(水滴がボディになじむ)、水気が自然に排水される親水系で施工しておくと、比較的安心だ。筆者の愛車も以前は自身の手で親水系コーティングを施していたのだが、屋外駐車でもウォータースポット被害は最小限だった。とくにウォータースポットが目立ちやすい濃色系のボディカラーのクルマは、プロのコーティング業者も指摘するように、親水系コーティングがベターだろう。

 ところで、夏にクルマで海に出かける人も多いはずだが、海辺を走り、海辺の地面に砂が堆積したような駐車場に丸一日止めたあとは、クルマを大切にしている人なら、サビ対策(風、砂に含まれる塩分による)、ウインドウのキズ対策(ベとついた砂がウインドウに付着したままワイパーを作動させるとワイパーブレード、ウインドウガラスともにキズが付く原因になる)もあって、早目にクルマを洗いたいと思うに違いない(ワイパーのあるウインドウは海辺出発前のクリーニングが不可欠)。

 できれば当日中にコイン洗車場などの高圧の水でボディに付着した塩分汚れをスッキリ落としたいところだが、ただし、帰路、夏の夕方といってもまだ暑く、ボディは熱いまま。こうした場合でも、やはり気温、ボディの熱が落ち着いたタイミングを待って洗うのが正解だ。筆者が海辺のドライブを楽しんだあと、夕方、帰るとして、自宅周辺に着く直前、気温が落ち着いた頃に洗車場に飛び込むことにしている(エンジン車の場合はボンネットのクールダウン時間が必要。走行後、まだ熱いうちの洗車はボンネット熱によるウォータースポットを誘発するので厳禁)。帰路のナビルートに、コイン洗車場を経由地として設定しておくといいだろう(立ち寄り忘れ防止!?)。

 いずれにしても、炎天下、ボディが熱々のうちの洗車は、ボディのちょっとした汚れどころではない深刻な被害をボディにもたらすことになる。今すぐにでも洗いたい気持ちを抑え、洗車に適した環境下で洗うことが、愛車のためにベストということになるだろう。繰り返すけれど、どうしても夏の日中、洗車する必要に迫られたら、ガソリンスタンドなどにあるブロー付き洗車機を使い、洗車後の水滴をできるだけ残さない状態で速やかに残りの水気を拭き上げる洗車方法がベターではないだろうか。