「御堂筋が怖くて走れない卒業生は当社が許しません」

大阪市浪速区にある芦原自動車教習所の公式ウェブサイトに記載されているそんな文言が、ツイッター上で注目を集めている。

御堂筋は、大阪市の阪神前交点と難波西口交点を結ぶ、6車線南行き一方通行の道路。梅田となんばをつなぐ大阪のメインストリートで、車線が多いために慣れていないと通行が難しい。

そんな道路を怖がらず走らなくては卒業できないって......運転初心者にはハードル高くない?

同教習所が一体どこにそんなコメントを乗せているかというと「よくある質問」のコーナーだ。

「御堂筋で教習するって本当ですか?」という質問への答えが

「本当です。御堂筋が怖くて走れない卒業生は当社が許しません。他にも、大正・なにわ筋・阪神高速等、免許を取った後、すぐに走る必要があるコースで教習を行います」

なのである。

「もはや戦場だから」

大阪市内で勤務していたり、住んでいたりすれば、使う機会も多いだろう御堂筋。かつて大阪で仕事をしていた筆者も、幾度となく通った。

......とはいえ、御堂筋を怖がらずに走らなければ運転免許が取れないなんて決まりはどこにもない。

他の教習所に比べて卒業するのが難しそうに思える「芦原自動車教習所」のQ&Aは2022年7月10日、あるツイッターユーザーが取り上げたことで話題に。御堂筋ユーザーの皆さんからは、こんな声が寄せられている。

「阪高と新御堂、御堂筋はもはや戦場だから、教習段階でその世界を知っておく事はとても大切。車間詰めまくりギチギチで80キロ(編注:時速)くらいで流れてる中、1キロ(編注:距離)満たないくらいの間に5車線を車線変更とかマジキチ」
「御堂筋って合流する車が、本線走ってる車は譲るものと思って減速なしでぐいぐい割り込んでくるし、側道指示も急に出てくるし、ゆっくり走ってると後ろからどつくように煽られるし、とにかく情報量が半端なく多い道路だよね。あそこを事故無しで走れれば免許皆伝あげちゃう」
「御堂筋は側道からの合流とか、本線から側道にうつるタイミング難しいもんね〜」

これらのコメントからわかるのは、「御堂筋を怖がらずに走ること」がいかに難しいかだが......。

芦原自動車教習所は、本当に「御堂筋が怖くて走れない人」を許さないのだろうか。Jタウンネット記者は11日、同教習所を取材した。

御堂筋で教習はするけれど...

「御堂筋は教習でも使いますが、ここを通るのが卒業の必須要件ではないです。
御堂筋を教習で通ろうとしても、混雑であったり、工事であったり、交通状況によって通らない時もあります。絶対に通らないといけないわけではないんです」

そう説明したのは、芦原自動車教習所の管理室長だ。

御堂筋を教習で通るのは、あくまで在校生の「タメになるから」であるという。近隣の地域から免許を取りに来ている生徒は卒業後すぐにこの道を運転する可能性も高いだろうし、そうでない人にとっても難度の高い道路を教習で練習できるのはいい経験になるだろう。

では、なぜあんな手厳しいコメントをウェブサイトに掲載しているのだろうか。

「あのコメントは以前の社長が考えたもので......。その方のユーモアといったところです」

と管理室長は語った。