J1リーグ20節の浦和レッズ京都サンガF.C.戦で、Jリーグ公式サイトおよびアプリで「(浦和サポーターが)声を出してブーイングを行なっている」と事実とは異なる速報が配信され、批判の声が相次いだ。

Jリーグは2022年7月11日、J-CASTニュースの取材に対し、「クラブを愛するファン・サポーターの皆様が当該の表現に対して批判的な感情を抱くことは当然」だと述べて謝罪した。

「これはマジで許せない」

問題となったのは、埼玉スタジアムで7月6日に行われた浦和レッズ対京都サンガF.C.戦において、Jリーグ公式サイトなどで配信されたテキスト速報だ。当初「前半18分 浦和サポーターが、プレーを切らない京都の選手に対し、声を出してブーイングを行っている」と配信され、その後「松尾がアピアタウィアと接触した影響でピッチに倒れている」に修正された。

動画配信サービス「DAZN」で上記の試合を確認したところ、ブーイングをしている場面は見受けられなかった。ツイッター上でも「現地いたけどブーイングなんか無かった」「ゴール裏いましたが、ブーイングはありませんでした」という投稿が上がっている。

このテキスト速報に対し、SNS上では「これはマジで許せない」「公式アプリがやることじゃない」といった浦和サポーターからの批判の声が相次いだ。

サポーターの1人は、取材に対し「浦和レッズは現在2000万円の罰金や勝ち点剥奪かもしれないと言われている中、声出しに敏感であり、チームをあげて気をつけようとしているところでした」と答えた。続けて「ブーイングや声出しは昨日の試合では一回もなかった(現地に行った方から確認済み)ので捏造された情報発信されたことに怒りを感じます」と心境を明かした。

報道各社によれば、浦和レッズのサポーターが新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインで禁止されている「声出し応援」を繰り返したとして、Jリーグの野々村芳和チェアマンは5日、クラブに対して2000万円の罰金を科すことを裁定委員会に諮問(しもん)する方針を示した。また、同様の事案が起こった場合、無観客試合や勝ち点を剥奪する可能性もあると警告していた。

「公式サイトを管理する立場として申し訳なく思っております」

サポーターの批判について、Jリーグは11日、取材に対し「クラブを愛するファン・サポーターの皆様が当該の表現に対して批判的な感情を抱くことは当然のことですし、その点については公式サイトを管理する立場として申し訳なく思っております」と述べて謝罪した。公式サイトでも同日までに謝罪文を掲載した。

今後の対策については「テキスト速報の情報提供元であるデータスタジアムと共に再発防止の徹底に努めて参ります。具体的な改善策については、今後両者にて協議を重ねて確定し、速やかに実行に移します」とコメントしている。

データスタジアム(東京都千代田区)は8日、問題について「選手が倒されたコンタクトに対する観客反応の誤認識により事実とは異なる表現(騒然とした様子を"声を出してブーイング"と記載)を行った」と原因を説明し、サイト上で謝罪した。各配信先メディアはデータを加工せずに利用しており、編集責任はないとしている。