フジテレビ系の『ネプリーグ』やTBS系の『東大王』など、ここ数年のテレビ業界は「クイズ番組」が高い人気を誇り、数多くの番組が制作されている。

 そもそも日本のテレビ番組の歴史は「クイズ番組から始まった」と言っても過言ではない。1953(昭和28)年のNHK開局当時の人気番組は『ジェスチャー』。タイトルの通りジャスチャー(身振り、手まね)をメインにしたクイズ番組であった。

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 すでに70年近くの歴史を持つクイズ番組だが、その長い歴史の中で「芸能界最強のクイズ王」と呼ばれる存在が歌手・タレントの所ジョージだという。

 日本テレビ系のクイズ番組『マジカル頭脳パワー!!』(1990〜1999年)では「所ジョージ早押し事件」と呼ばれる出来事があった。

 1993年5月8日放送回の「マジカルコインいち文字クイズ」で、所は当時のクイズ番組史上類を見ない「問題を聞かずに答える」という誰にもまねできない離れ業を成し遂げた。出題するアナウンサーが「続いての問題です」と口にすると、所はすぐさま解答ボタンを押した。あ然とする板東英二ら出演者、観覧者たちを尻目に所は「分かるんだから私は」と涼しい顔をしながら「こいのぼり」と答えたところ、まさかの正解となったのだ。

 あまりの出来事に足から崩れ落ちた板東英二を前に、所は「クイズなんか数多い日本語の中からひとつ選べばいいんだ!」とキッパリ。これは今でも語り草になっている。

 おそらく、放送日がゴールデンウィーク直後であること、当時は問題を視聴者から募集しており、問題の考案者が小学生だったことから「季節もの」「子どもが好きそうなもの」から連想し「こいのぼり」と当てたのだろう。それにしても驚異のクイズ強さである。

 なお、所はあまりの「勝負強さ」が有名になってしまい、最近はあまりクイズ番組に出演する機会がないようだ。番組の雰囲気をぶっ壊してでも正解する、所の暴れっぷりを久々に見たいものである。