缶詰への愛は「誰にも負けない!」と豪語している缶詰博士の黒川氏。でも、今日持ってきたものは缶詰ではないようです。それは一体何ですか?

「確かに缶詰じゃないです。でもでも、容器が缶ではないだけで、缶詰の仲間ではあるんですよ」

えーとすみません。何を言っているのか分からないので、きちんと文章で説明してもらいましょう。

→これまでのお話はこちら

マルハニチロ/魚むすび「味付けおこわ」「わかめごはん」 各60g 184円

○入手したてのレア物

ここに、魚肉ソーセージに似た食べものがある。先日入手したばかりのもので、中国・四国・九州地域でしか販売されていないレアものであります。

9月からは全国で販売する予定らしいけど、ともかく今の時点ではレアもの。マルハニチロの「魚むすび」という商品なのだが、これは何でありましょうか?

ケーシングに包まれた中身

○ギョニソとおむすびのハイブリッド

外装を開けると、中に入っていたのはケーシングに包まれた物体だった。サイズといい、アルミのとめ金といい、やはり魚肉ソーセージ(略してギョニソ)にそっくり。

種を明かせば、これは魚肉入りの「おむすび」であります。言わばギョニソとおむすびのハイブリッド商品で、言い方を変えれば、おかずとごはんが一緒になったもの。

スティックタイプで食べやすく、ケーシングをつかめば中身に手が触れない。すなわち衛生的に食べられるわけだ。ということはこれ、アウトドアに最適じゃないかしらん。

公園で試食

○開けやすいケーシング

早速、公園に出掛けてみた。折りたたみのテーブルを広げてささやかな食卓とし、魚むすびを開けてみる。

ケーシングは両手でつまんで開くタイプで、力を使うこともなく簡単に開いた。両端まで開くので、エンド部分も残さず食べられそうだ。中身がケーシングの内側に貼りつくこともないし、よく出来た包装であります。

左が味付けおこわ、右がわかめごはん

○ごはんはもち米を使用

魚むすびには「味付けおこわ」と「わかめごはん」の2種類がある。それぞれの感想は以下の通り。

味付けおこわ→もちもちと柔らかく、合間にギョニソの弾力とタケノコのコリコリ感。甘じょっぱい砂糖しょう油の味で、ポークエキスが利いている。

わかめごはん→もちもち柔らかいのは味付けおこわと同様。魚介系の出汁が利いた塩味で、茎わかめのしゃくしゃく、白ごまのプチプチ食感がいい。

ごはんがもちもちしているのは、もち米を使っているからだ。どちらも味付けは濃くなく、1本を食べると小腹がほどよく満たされる。

どこでも食べられる

○缶詰と同じ製法

おむすびをギョニソ的な姿にしたことで、手を汚さずにどこでも食べられるようになった(撮影時もテーブルは不要だった)。しかも常温保存可能なんて、画期的な発明じゃないだろうか。

ところで、僕はギョニソに昔から好意的な態度を取っている。ギョニソは缶詰の仲間だからだ。

缶詰の定義は「食品を容器に入れて密封した後に加圧加熱殺菌」であり、ギョニソは容器こそケーシングだけど、密封したあとの加圧加熱殺菌という部分が同じであります。

そして、この魚むすびもギョニソと同じ製法で造られている。ゆえにこれは缶詰の仲間なのだ(個人的な感想です)。

缶詰情報

マルハニチロ/魚むすび「味付けおこわ」「わかめごはん」 各60g 184円

現在は中国・四国・九州地域で販売中。今後は段階的に販売地域を広げ、22年9月から全国発売予定。

缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。 この著者の記事一覧はこちら