スマホに機種変更するシニアが増え、トラブル事例も増加中。格安スマホに乗り換えたのにかえってお金がかかった……なんてことにならないよう、対策を学ぼうーー!

シニア層のスマートフォン(スマホ)所持率が高まっている。

NTTドコモモバイル社会研究所が’22年1月に行った調査によると、スマホの所持率は60代では一昨年の69%から91%にアップ。さらに、70代でも48%から70%と急増中だ。

「スマホデビューするシニアが増えている一方で、トラブルも増加しています」

こう語るのは、ITジャーナリストの三上洋さんだ。スマホに慣れないシニアが誤操作や、不要なサービスを契約させられてしまうことによって、思わぬ散財をしてしまうケースがあるという。

そこで今回、三上さんに実際のトラブル事例と対策を教えてもらった。

【1】話し放題のはずが高額な通話料を請求された!

格安スマホに乗り換えたAさん。通話料無料のプランに加入して、長電話を楽しんでいた。数カ月後、送られてきた請求書を確認すると、2カ月で2万7000円もの通話料が発生していることに気がついた。

「これは格安スマホに乗り換えた人が起こしがちな操作ミス。格安スマホの通話料無料サービスや定額サービスは、専用アプリを使ったり、事業者が指定する“プレフィックス番号”という決まった番号を電話番号の最初につけて発信することが、安くなる条件になっていることが多いのです。それらを忘れて、スマホに元々入っている電話アプリで通話していると、高額な料金が請求されてしまうことがあります」(三上さん・以下同)

たとえば、BIGLOBEモバイルやIIJmioの場合、専用アプリを使えば、月額913円で1回10分以内の国内通話が何度でも無料になる。一方で、BIGLOBEモバイルでは、専用アプリを利用しないと、30秒で22円の通話料がかかるのだ。

「まずは、自分の利用しているサービスの利用条件を確認しておきましょう。専用アプリが必要な場合は、必ずそのアプリからかけることを意識して。通常の電話アプリはアイコン一覧から隠してしまうのがいいでしょう」

【2】不必要なオプションで毎月5000円もの請求が……

大手キャリアでスマホを新しく購入したBさん。携帯ショップでの契約時に「このオプションサービスをつけると割引になるので、とりあえずつけておきます。今月は無料で、来月から料金がかかりますから、不要だったら解約してください」と説明されたが、解約を忘れてしまった。数カ月経ったある日、携帯料金の明細を見たところ、オプションの料金だけで毎月何千円にもなっていたことが発覚した。

「携帯販売店はスマホの端末を売るだけでは利益を出せません。音楽が聴き放題になる、動画が見放題になる、健康管理ができるなどのオプション契約をとることで、もうかる仕組みになっているんです。そのため、あの手この手でオプションの契約をすすめてきます」

総務省の調査でも「高齢の母が一人で機種変更を行った際、基本料金約3000円に対して5000円分ものオプションをつけられていた」という事例が報告されている。

「今すぐ不要なオプションがついていないかを確認して、解約するようにしましょう。契約時には、店外に出たらすぐに解約手続きをしてしまうのがいちばんです。ただし、このとき、アプリを削除するだけでは解約はできません。契約関連の情報が表示されているキャリアのマイページなどから、解約手続きを行ってください」

キャリアごとに確認方法は異なるが、主要キャリアの有料オプションの確認方法を示したので参考にしてほしい。

■有料オプションの確認方法

〈docomoの場合〉

My docomoのWEBサイトにログインし「ご契約内容・手続き」のページを開く → ページ下部にある「すべてのご契約状況を確認」をタップ → 加入しているオプションサービスが確認できる。有料オプションはページの後半に記載されている

〈auの場合〉

My auのWEBサイトにログインし「スマートフォン・携帯電話」のページを開く → 「ご契約内容/手続き」のページに進み、「ご契約情報」をタップ → 加入しているオプションサービスが確認できる。動画や健康関連の有料サービスはページ下部の「エンタメのご契約情報はこちら」から確認できる

〈SoftBankの場合〉

My SoftBankのWEBサイトにログインし「契約・オプション管理」のページを開く →「オプション」をタップ → 「ご加入中のサービス」から加入しているオプションサービスが確認できる

「高齢の親の契約にも注意が必要。スマホの契約は『家族割を利用するとお得だよ』と説得して家族で契約をまとめ、親御さんの請求書も子供が確認できるようにすると安心です」

【3】動画サービスに登録したらいつの間にか料金が発生……

スマホからドラマや映画を視聴できる動画サービスの2週間無料キャンペーンに参加したCさん。結局、最初の2〜3日しか視聴せず、そのまま放置していた。1年後、クレジットカードの明細を見ると、無料期間の終了後から毎月、利用料金が引き落とされていたことが判明した。

「このような無料お試し期間のキャンペーンは、U-NEXTやHuluなどの大手動画サイトでも実施されています。申込み画面に“無料期間終了後は契約が自動で更新され、解約されるまで月額利用料が発生する”という旨が記載されているのですが、文字が小さく見落としてしまう人が多いんです」

さらに、最近はクレジットカードや携帯料金の紙の明細書が送られてこないため、長年気づかないまま料金を支払っているケースも多いという。

「いざやめようとしても、解約画面の場所がわかりにくいケースも多いです。つい最近、ニューヨークタイムズの電子版が電話でしか解約できないことも話題になりました。しかし、そこで諦めたら業者の思うつぼ。『サービス名 解約』で検索すると、解約方法が記載されているサイトが出てくるので、それを参考にしてください」

【4】お試しでサプリを購入したら勝手に定期購入に!

スマホに表示された、初回90%オフのダイエットサプリの広告が気になったDさん。1回だけと思って購入してみたところ、数週間後に、1万円の請求書と共に、同じ商品が家に到着! 業者に問い合わせると、初回90%オフはその後3回の購入が必須だという。Dさんは泣く泣く料金を支払った。

「お試しのつもりで申し込んだら、実際には“最低●回の定期購入”が条件だったというトラブルが多発しています。“いつでも解約できる”という表示があったので安心して購入したところ、解約しようと電話をしたらいつまでたってもつながらないというケースも。このようなトラブルがあまりに頻発するため、6月1日から規制が強化され、明らかに誤認させるような表示による購入は取り消しができるようになりました。ネット通販を利用する際は、定期購入ではないかなど、解約の条件をよく確認するようにしてください」

購入時に、注文の最終確認画面のスクリーンショットをとっておくのも効果的だ。

「親世代が気づかないうちにこれらのトラブルに巻き込まれている場合もあります。夏に帰省して親御さんと会う機会があれば、さりげなく、スマホの困り事がないか聞いてみるのもいいでしょう」

トラブルを未然に防ぎ、スマホをスマートに使いこなそう!