男子中高生に支持され“ココロ、解放炭酸”をコンセプトに掲げる「がぶ飲み」と沖縄の“ソウルアイス”として知られるブルーシールのコラボ商品が16日から期間限定で新発売される。

 商品名は「がぶ飲みブルーウェーブフロート」。
 ブルーシールの人気アイス「ブルーウェーブ」の味わいと沖縄の夏や海をイメージして開発された炭酸飲料に仕立てられている。

 ブルーシールを手がけるフォーモストブルーシールは、1948年に沖縄県うるま市(当時・具志川市天願)の米軍基地内で創業し、96年にポッカサッポロフード&ビバレッジ(旧ポッカコーポレーション)の傘下に入った。

 ポッカサッポロのグループ連携を強化しコロナ禍で打撃を受ける沖縄観光の再興など沖縄を応援していくのがコラボ商品の狙い。

 同社は4月に経営理念体系を刷新し「人と社会と向き合い、未来の食のあたりまえを創造する」を理念に掲げ、製造拠点の1つである沖縄への貢献を強化していく。

ブルーシール牧港本店(沖縄)の様子。内装は開店当初を維持

 沖縄のグループ会社は、フォーモストブルーシールに加えて沖縄本島北部の東村(ひがしそん)に製造拠点を持つ沖縄ポッカコーポレーションがある。

 9日、3社合同発表会に臨んだポッカサッポロフード&ビバレッジの征矢真一社長は「これまでグループ会社のチカラを掛け合わせた商品を提供してこなかった。サッポログループとして沖縄に寄り添う気持ちを強く持っており、沖縄本土復帰50年の節目の年にそれができたのはご縁」と語る。

 こうしてグループ連携で編み出された沖縄の魅力を伝える第一弾が「がぶ飲みブルーウェーブフロート」となる。

 「沖縄を訪れ沖縄のよさを体験していただくのが一番。そのことに我々の商品で寄り添い皆様に笑顔を届けたい。その一丁目一番地のような商品としてブルーシールのフラッグシップの味を飲料で再現することにトライした」という。

「がぶ飲みブルーウェーブフロート」のラベルでブルーシールと「ブルーウェーブ」をアピール

 開発にあたっては、ブルーシール店舗で「ブルーウェーブ」が人気商品であることと沖縄のイメージを加味した。
 「店舗でないと食べられないフレーバーであり、数あるラインアップの中で人気No.2であることが大きかった。あとは沖縄の青い海をイメージした」と価値創造飲料事業部の米倉聡子さんは振り返る。

 味わいは「ブルーウェーブ」のおいしさを追求。

 「ブルーウェーブは2種類のアイスが混ざり固形のラムネと果肉が入っていて、最初にソーダの味わいがして、食べ進めるうちに具材のリッチな味わいが楽しめる。それを飲料でどう表現するかに苦慮し、トップノートにソーダやラムネ、ラストノートにパイナップが少し香るようなリズムのある味づくりにこだわった」と胸を張る。

 商談状況は上々で「『ブルーシール』とのコラボの面白さや中高生のココロの解放を目指す『がぶ飲み』の世界観に共感いただき、当社の期間限定商品としてはかなり大きな数字が計画され正直驚いている」という。

 沖縄ではスーパー・量販店、コンビニの主要手売りチャネルに導入されるほか、沖縄限定で自販機にも装填される。

 また沖縄のスーパー・量販店では「ブルーシール」商品と「がぶ飲み」とのクロスMDも予定している。

 第二弾以降の展開については、飲料と飲料以外の両方を見据える。

 「飲料に限らず我々の中で出せる商品をやっていきたい。意外性が必要で、“未来の食のあたりまえを創造する”の理念に沿った商品を出せたときがゴールだと考えている」と征矢社長は述べる。

左から「さんぴん茶」「やんばるの天然水」「シークワーサー果汁100%」

 この理念に沿った沖縄でのこれまでの実績の1つにロングセラーの茶系飲料「さんぴん茶」が挙げられる。
 征矢社長は「手淹れで飲まれているさんぴん茶で最初にPET市場に打って出て日常を支えてきたと自負している」と語る。

 沖縄ポッカコーポレーションでは、沖縄の文化・素材・資源を活用した商品展開として主に「さんぴん茶」「やんばるの天然水」「シークワーサー果汁100%」をラインアップしている。

 「さんぴん茶」は売上の一部を首里城復興支援へ寄付。

 沖縄ポッカコーポレーションの本田寛昭社長は「21年に約100万円を寄付し、正殿が完成される26年まで継続し沖縄に恩返ししていく」と意欲をのぞかせる。

 「やんばるの天然水」は沖縄県では希少な軟水で、前身商品は03年に採水エリアの東村と共同開発した「東村の天然水」となる。

 昨年、奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島がユネスコの世界自然遺産に登録されたことを受け、今年、やんばる地区三村(大宜味村・国頭村・東村)との協働商品へと発展させ商品名を変更した。

かねてから前身商品の売上の一部を慶佐次湾(げさしわん)のヒルギ林の環境保全に寄付し、今年から「やんばるの天然水」の売上の一部で世界自然遺産登録地域への寄付を開始した。

 「シークワーサー果汁100%」は今年発売した沖縄限定の新商品で「原料に大宜味村を中心に地元の原料を使用し、全国発売している割材の『お酒にプラス沖縄シークヮーサー』とともに販売している」。

ポッカサッポロの征矢真一社長(後方中央左)、米倉聡子さん(後方中央右)、フォーモストブルーシールの山本隆二社長(右)、沖縄ポッカコーポレーションの本田寛昭社長(左)、新入社員の亀田みずずさん(前方左)と仲村柊花(しゅうか)さん(前方右)

 フォーモストブルーシールは、スーパー・量販店・コンビニでのアイスクリームの販売と店舗運営を手掛け、店舗数は沖縄18店舗を含め全国約50店舗となっている。

 サステナビリティの取り組みとしては、人気No.1の「塩ちんすこう」など沖縄県素材を活用した商品展開や、昨年から沖縄県内の未就学児を対象に保育園・幼稚園・こども園へ出向いてブルーシールキッチンカー「Ice Dream号」でアイスを無料配布している。

 フォーモストブルーシールの山本隆二社長は、今回の「がぶ飲みブルーウェーブフロート」について「まずは沖縄の人に喜んでいただきたい。本土の方には『ブルーシール』を知っていただきたい」と期待を寄せる。

 コミュニケーションはSNSを活用したキャンペーンを予定し、note活用した情報発信も検討する。

 「今年からnoteを使い商品の裏話や会社の取り組み、やりたいことを熱心に伝えている。沖縄についても興味が沸くような発信をしていきたい」(征矢社長)との考えを明らかにする。

 なお3社合同発表会では、沖縄ポッカコーポレーションの新入社員の亀田みずずさんと仲村柊花(しゅうか)さんが商品への想いや仕事への意欲を語った。

男子中高生のココロつかむ「がぶ飲み」が米軍基地内で創業した沖縄の“ソウルアイス”とコラボ その狙いは?は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。