連載:アカザーの車いす野郎 〜車いすの編集者が20年後に歩いて聖火を繋ぐまで〜
元週刊アスキーの編集者アカザーが、事故で下半身不随となり車いすユーザーになるも、その20年後に聖火リレーで歩いて聖火を繋ぐコトに! そんな、ちょっと何をいっているかよくわからない話を、盟友のレポート漫画家ミズグチ画伯のイラストを添えてお伝えします!
どうもアカザーっす! 以前は週刊アスキーという雑誌で編集者をやっていました。このコラムのイラストを描いてもらっている漫画家のミズグチさんとは「カオスだもんね!」という体験レポート漫画を四半世紀ほど一緒に作っていた腐れ縁の仲です(笑)。
事故で脊髄を損傷し歩けなくなった18年後、再生医療の治験を受けるコトになった話
俺が治験者として受けるコトになった再生医療は、2021年現在日本で唯一の保険適用(条件及び期限付承認)がなされているステミラック注によるもの。これは自身の身体の中にある間葉系幹細胞という自己治癒力が高い細胞を培養し、さらに治癒力を強くしたものを点滴で注入。それにより、損傷した部位の自己治癒能力を飛躍的に高め修復するという再生医療です。
俺の受けた治験の場合だと、投与により損傷している脊髄がどれだけ修復するのか? すぐに歩けたりするのか? 果たして慢性期患者にも効果が出るのか? などをチェックするのが主目的になる感じ。
参考)脊髄損傷に対する再生医療等製品「ステミラック注」を用いた診療について
上記の札幌医科大学付属病院のサイトにも記載してあるように、現在、保険適用でこの再生医療を受けられるのは、急性期(脊髄を損傷して約ひと月以内)の患者のみという非常に狭き門。
これを慢性期といわれる受傷後数か月〜数年が経った俺のような、脊髄損傷者(日本に約10万人居るともいわれる)でも効果があるのか? を検証し、効果がみられれば保険適用にしようというこの治験プロジェクト。
もしこれが成功すれば、不治と言われている脊髄損傷が“治るもの”へと変わる未来への扉が開かれるかも! 2000年に俺が受傷した頃は“ラットの脊髄損傷は治る”との論文が出たばかりで、そこから約20年。やっとその扉に手をかけるところまできた感じです。
治験を断ったワケと受けることにしたワケ
実は治験の第1号として声をかけてもらったとき、「治験者はもっと若い方がいいんじゃないですか?」と、いちどは断りました。未来ある若者が受けたほうがいいというのも本心ですが、個人的な理由として受傷後18年間で少しずつ上向いてきたコンディションが悪くなる可能性もゼロではないコト。また、独立してフリーライター・エディターになって3年目で、少しずついただけるようになった仕事を断り、治験後に果たしてまた仕事を貰えるのか? という不安があったからです。