東京地裁はめちゃめちゃ傍聴人が多い。でも、人気なのは「強制わいせつ」や「強制性交等」などの色情事件、そして「殺人、死体遺棄」など派手な事件だ。交通事故は人気が低い。よし、私がしっかり傍聴しよう。判決は執行猶予に決まりと思うが、メディアの横並び報道とは比べものにならないディープなレポートをしよう…。

だがしかし! この事件は傍聴券抽選になる可能性が高い。新型コロナのソーシャル・ディスタンスで傍聴席が半分に減らされているうえ、記者クラブが10数席を優先的にとるだろう。抽選の当たり券は多くて10数枚。そこへ、事件にはぜんぜん興味がないんだけど「えっ、傍聴券抽選? なんかすごい事件なの? 芸能人?」と一般傍聴人が集まる。こうして興味がない人が集まるのを「傍聴券効果」という。私の造語だ。

当たり券10数枚のところに50人か100人かもっとか押し寄せる。私は外れ、傍聴できない、ちっきしょお~! とまあ、現時点でそこまで叫んでしまうのが本格の裁判傍聴マニアってもんなのである、バカだね~(涙)。

〈文=今井亮一〉
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。