Russian President Vladimir Putin chairs a meeting with government members outside Moscow

ロシアの通信検閲当局ロスコムナゾル(通信・情報技術・マスメディア監督庁)は、アップルとGoogleが野党指導者ナワリヌイ氏陣営のアプリを削除しない場合、罰金を科す予定だと報じられています。

問題とされているアプリは、野党指導者で投獄中のアレクセイ・ナワリヌイ氏が構想した「Smart Voting」です。本アプリはロシア政府や与党「統一ロシア」に選挙で対抗するために、最も有利な候補者を支援するためのサービス。ロシア当局はナワリヌイ氏陣営に過激派のレッテルを貼って非合法化しているため、このアプリが与党に対抗する残された手段の1つとなっています。

もともとロスコムナゾルは今月初めに、アップルとGoogleにアプリストアから本アプリを削除するよう要請していました。実際にアップルは数日間アプリのアップデートを停止し、そのため野党支持者の間で削除されるのではないかとの懸念が高まりましたが、その後も削除されていません。

そうした事態を受けて、ロスコムナゾルは国営メディアのタス通信を通じて、アップルとGoogleが対策を講じない場合、すぐに決定が下される(罰金を科す)可能性があるものの、まだその段階ではないとのメッセージを改めて発信しているしだいです。

ロスコムナゾルの副所長は「今のところ、我々は(行動を)起こしておらず、両社の反応を見守っている」「両社の反応が、特に制裁金を課すための決定の根拠となるだろう。彼らが拒否すれば、罰金が適用されるだろう」と述べています。

ロシアでは議会の下院選挙が、日本時間で17日朝から順次始まっています。プーチン政権は支持率が低迷しており、それを支える与党が議会で安定した議席を維持できるかが焦点となっているだけに、焦りが現われているのかもしれません。

アップルは過去にもロシア当局と何度も対立しており、今年4月にはApp Storeが独禁法違反として約13億円の罰金が科されたほか、iPhone初回起動時に政府推奨アプリを紹介することを義務づけられています。

しかし、今回は民主主義の根幹にある選挙に関わることで、しかも複数の欧米諸国がロシア政府に釈放を要求しているナワリヌイ氏が構想したアプリだけに、アップルも決断には苦慮することになりそうです。

Source:TASS

via:AppleInsider