第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)などの映画賞に輝いた『17歳の瞳に映る世界』(7月16日公開)のエリザ・ヒットマン監督の長編デビュー作『愛のように感じた』が、8月14日に公開されることが決定した。
本作は、ニューヨーク・ブルクッリン郊外を舞台に、思春期の少女の性と青春の刹那を捉えた物語。14歳のライラは、経験豊富な親友と、そのボーイフレンドとともにビーチに行き、タトゥーの入った年上のサミーに一目惚れする。サミーが「誰とでも寝る男」だと知ったライラは、あらゆる口実を作ってサミーに近づこうとするが、背伸びをして嘘を重ねるうち、思いもしなかった状況に陥っていく。2013年に発表した長編デビュー作となる。
今、世界で注目される女性監督の一人であるヒットマン監督。『愛のように感じた』で描きたかったのは、子供時代のアウトテイクだという。「そこにあるのは、孤独な瞬間、根拠のない自信の高まり、ささやかだけれど屈辱的な出来事といった、私たちの記憶の中に埋もれてしまいがちなものばかりです。私は、映画において『青春』のテーマが『幻滅のプロセス』として描かれることに常に魅了されてきました。この映画を観た人は、登場人物の行動に不快感を覚えるでしょう。しかし、その不快感こそ私たちが経験してきたことの真実です」と語り、この作品が、観客の心の奥底にある何かとつながることができれば嬉しいとコメントを寄せた。
本作では、14 歳の少女の性の目覚め、2作目の『ブルックリンの片隅で』では自らの性的指向を受け入れられない19歳の青年、そして3作目の『17歳の瞳に映る世界』では、望まない妊娠をしてしまった17歳の少女を描くなど、一貫して10代のセクシュアリティーを主観的かつ詩的に切り取り、内面化された感情を探求している。(高橋理久)
外部リンクシネマトゥデイ