クルマ業界を代表する鮮やかな「青」が大集合!

例年よりかなり早く突入した地域があるかと思えば、関東などお預けを食っている地域もありますが、いずれにしても日本人が年に一度は通らなければいけないジメジメ期、それが梅雨ですね。どんよりした空とムシムシした湿気にイヤになりますが、そんな時は、街を駆け抜ける青空のようなボディカラーを見つけて、しばし心だけでもカラッとしてみてはいかがでしょうか。空色はもちろん、海のようなブルー、宝石のようなブルーなど、今回はずっと眺めていたくなる美しく個性的な「青」が魅力的なクルマたちをご紹介したいと思います。

1)スバル WRブルー

 まず1台目は、2020年度の衝突安全テストで最高得点をマークし、日本で最も安全なクルマに贈られる「ファイブスター賞」を受賞した、スバル・レヴォーグ。このトップグレードとなる「STI Sport」だけに設定されているのが、「WRブルー」という青色です。

由来を知らなくても綺麗なボディカラーですが、スバルがWRCで大活躍していた時代を知っている人にとっては、特別に思い入れのある色でもあります。世界中の過酷なコースを疾走するマシンのために開発された初代「WRブルー」は、砂や石畳、雪など、それこそラリーの主戦場となった自然の色を背景にしたときに、より美しく強く映える色として開発されたのです。

 のちに、SUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースなど、サーキットで戦うようになるにつれて、「WRブルー」の色味も少しずつ変化しつつも、スバルのスポーティイメージを象徴する色として、受け継がれてきました。新型レヴォーグの「WRブルー・パール」は隠し味的に赤を仕込んだり、華やかさもある美しいブルーとなっています。

2)日産 AUTECHブルー

 続いて2台目は、湘南・茅ヶ崎に拠点を構え、日産の純正カスタマイズモデルを生み出しているAUTECH(オーテック)が大切にしている「AUTECHブルー」です。

 最新モデルでは日産ノートに採用されていますね。もともと社内では「湘南ブルー」と呼ばれていて、湘南の空と海、そしてこの地域特有の夜光虫が放つ青白い光の3つに、AUTECHのヒストリー、ヘリテージ、地域性の意味を込めているといいます。

 全モデルにまったく同じ色味を使うのではなく、AUTECHブルーと認識できる範囲で、そのモデルのデザインやキャラクターなどに合わせて、もっとも上質に美しく見えるようにデザイナーが調整してこだわっているという、特別なブルーとなっています。

3)アルピーヌ ブルーアビス

 3台目は、1960年代〜1970年代にWRCで大活躍し、もはや伝説となっていたラリーカーで、2018年に待望の復活を果たしたアルピーヌA110。フロントマスクの特徴だった丸目4灯のヘッドライトや、ヒップラインに向けてなだらかに傾斜するラインなど、旧モデルを思わせるデザインにときめきます。

 そしてブルーのボディカラーも、旧モデルからの特徴のひとつでしたが、新型には深い深い海をイメージした「ブルーアビス」が採用されました。スポーティかつ気品溢れるフレンチエレガンスの真骨頂といったブルーで、実はこのブルーアビス、フランスを代表するハイブランドであるエルメスも、代表作のバーキンなどにラインアップしている色なのです。

 眺めていると、地中海のグランブルーが目の前に広がる妄想にふけってしまいそうですね。アルピーヌA110のブルーアビスは、30台限定色となっています。

4)BMW ミサノブルー

 4台目は、エンブレムにもブルーが使われており、昔からブルーのイメージが強いブランドでもあるBMWの、現行モデルに採用されているとても鮮やかな「ミサノブルー」。

 見ているだけで、どこか素敵な海辺へとバカンスにでも出かけたくなるような色にも感じますが、じつはこのネーミングの由来はイタリア北東部・ロマーニャ州にある「ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ」。モータースポーツがお好きな人なら、Moto GPのサンマリノGPが開催されるサーキットと聞くとわかるかもしれませんね。このサーキットは、「イタリアのマイアミ」と称されるビーチリゾート、リミニにほど近く、吸い込まれるようなアドリア海のブルーと、古き良き石造りの街並みのコントラストがとても美しいのです。そんな名前がついたブルーだと思うだけで、ちょっと心がウキウキしてきそうですね。

5)プジョー ヴァーティゴ・ブルー

 さてラストの5台目は、販売店の名称が「ブルーライオン」となっていたくらい、同じくブルーにこだわりのあるブランド、プジョーの208に新色として登場した、「ヴァーティゴ・ブルー」。

 つやつやとして宝石のような鮮やかなブルーなのですが、ヴァーティゴというのが日本語にすると「めまい」や「回転性めまい」という意味で、ダイビングで海に潜っている時にグルグルと目が回るような状態になることを指したりもするようです。そこから、「目の眩むようなブルー」という意味合いが込められているといいます。新世代プジョーは文字が浮かび上がって見える、未来的な「3D i-cockpit」が特徴でもありますが、その画面もブルーがベースになっていて、ブルー好きな人にはたまらない空間ではないでしょうか。

 というわけで、古来から青というのは稀少性が高い色だったようですが、技術のブレイクスルーによって、今では多種多様なブルーが開発され、目を楽しませてくれるようになりました。梅雨の時期こそ、ぜひブルーのクルマたちに注目してみてください。好みのブルーに出会ったら、心には青空が広がるかもしれませんね。