中国では日本アニメが一定の人気を得ているが、近年の中国は国産アニメの発展に力を入れている。2021年には中国初となる国産アニメのテーマパークがオープンし、中国の制作会社を税金の優遇対象とすることや、ゴールデンタイムに海外アニメを放送しないなど、中国アニメの強化に本腰を入れている。

 中国のアニメ業界が、日本をライバル視して追い越そうとするのは当然だ。中国のアニメ市場は3兆円と言われているほど規模が大きいためだ。中国メディアの騰訊は11日、中国アニメは日本アニメを超えられるかと問いかける記事を掲載した。

 記事はまず、アニメ業界の成熟度合いは「市場規模では単純に比較できない」と指摘している。中国は14億の人口を抱えているとはいえ、日本のようなアニメ熱はない。日本の人口は中国の10分の1にも満たないが、「鬼滅の刃」の劇場版1つとっても、すでに興行収入が400億円に迫る勢いだ。そのうえ「日本のアニメは、すっかり中国を侵略」していて、アニメ愛好家の中国人は「日本アニメのとりこになっている」と伝えた。

 そのため、今の中国市場には国産アニメの「需要」がないように見えるが、逆に「将来性がある」とも言えるという。例えば、2020年に不正会計が発覚して上場廃止に追い込まれ、一躍有名になった瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)についても、近年の躍進はこの「需要の少なさ」を逆手に取ったことにあると紹介した。ラッキンコーヒーは不正会計があったものの、日本や欧米のコーヒー消費量が年間約300杯なのに対し、中国がたったの9杯であることに目を付けたと指摘。つまり市場が未熟で、強い競合相手がいないうちにチェーン店を次々と全国展開し、一気に市場を押さえたことが成功につながったことを指摘した。

 記事は、中国アニメの将来性について、より中国色を打ち出して日本アニメとの差別化を図り、中国人の心をつかめれば、コーヒーと同じく「無限の可能性がある」と論じている。中国アニメが日本アニメを超えるのは「時間の問題だ」と自信を見せた。中国は国を挙げて国産アニメを推しており、本気で「日本を超える」つもりのようだが、一筋縄ではいかないのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)