【スペイン発コラム】セルタ戦で2試合ぶりの出場も際立つパフォーマンスを見せられず

 ヘタフェの日本代表MF久保建英は12日、リーガ・エスパニョーラ第36節セルタ戦(0-1)で2試合ぶりに出場したものの、際立つパフォーマンスを見せることができなかった。

 チームが残留争いで苦しむ最中、徐々に出番を失っていった久保は、平日開催となった4月22日の第31節バルセロナ戦(2-5)でローテーションによりフル出場した後、3試合で出場1試合のみ、しかもわずか6分間だった。

 ホセ・ボルダラス監督はセルタ戦前日の記者会見で、久保を最近ほとんど起用していない理由を問われ、「他の多くの選手同様、久保は並外れて良い選手だ」と前置きしたうえで、「しかし我々はすべての面で、よりバランスの取れたチームを探し求めている」と説明。続けて「彼がここ数試合、出番が少ないからといって、それが今後の試合に出場しないということを意味しているわけではない」とフォローしたものの、久保が現在のチームに上手く当てはまっていないのは間違いないだろう。

 バルセロナ戦同様、セルタ戦も平日開催だったため、ボルダラス監督はローテーションを実施した。しかし、0-1の敗北を喫した前節エイバル戦から、MFダビド・ティモール(出場停止)、DFアラン・ニョム、MFマウロ・アランバリ、FWハイメ・マタの4選手に代え、DFチェマ・ロドリゲス、DFフアン・アントニオ・イグレシアス、MFカルレス・アレニャ、FWアンヘル・ロドリゲスを新たに先発起用し、久保は4試合連続でベンチスタートとなった。

 1点を追う展開のなか、ボルダラス監督は後半15分、イグレシアスとFWエネス・ウナルを下げ、久保とマタをピッチに送り出した。

 イグレシアスと入れ替わる形でそのまま右サイドハーフに入った久保は、同18分に2選手を相手に縦への突破を試みるも失敗。その後、献身的に守備をする姿を見せ、ゲームの組み立てに参加したが、積極的に右サイドから上げた3本のクロスボールは誰にも合わせられない。そして終盤は激しい肉弾戦となったため、ボールがほとんど入らず際立つパフォーマンスを見せることができなかった。

 ヘタフェはシュート数でセルタを圧倒するも決定力を欠き、最後までゴールをこじ開けられずに0-1で敗れ3連敗。リーグ戦成績は36試合8勝10分18敗の勝ち点34で16位と、順位を落としている。シーズン終了まで残り2節となるなか、降格圏内の18位バジャドリードとの勝ち点差はわずか「3」となった。

セルタ戦での久保は「チャンスを生かそうと意欲的にプレーしていた」

 セルタ戦で30分間プレーした久保のパフォーマンスについて、スペイン紙「マルカ」、「AS」ともに1点(最高3点)という微妙な評価をつけた。また「AS」紙は「久保は右サイドでプレーするも、あまりチャンスを作れなかった。また、より意外性のあるアクションを発揮しつつ、ピッチ中央に顔を出そうとしていた」と評し、右サイドよりも中に入った時のほうが面白いプレーを見せていたことを強調した。

 この日、ヘタフェの対戦相手となったセルタの地元紙「エル・コレオ・ガジェゴ」のアンショ・タト記者に試合後、久保のパフォーマンスについて聞いてみた。

「久保は最近、あまり出場機会に恵まれていなかったが、今日は与えられたチャンスを生かそうと意欲的にプレーしていた。右サイドからピッチ中央に入り、積極的に攻撃に絡みにいっていた。特にペナルティーエリア内にいたアンヘルに向け、何本かクロスボールを送っていたが上手く合わせることはできなかった。今日は久保について特筆すべき点はなかったと思う」と精力的に動いたことを評価しつつも、大きな成果がなかったことを強調した。

 久保がヘタフェで置かれている状況については、「今冬、補強の目玉としてヘタフェに加入したにもかかわらず、ボルダラス指揮下のチームであまりにも出場機会が少なすぎると私は感じている。なぜなら久保は、試合に出場した時は個性を発揮しているし、優れた特長を備えていることを感じさせているからね。今後、どんなふうにチャンスを掴んでいくのか、注目したいと思う」と、出番の少なさに疑問を持っている様子だった。

 久保のヘタフェ加入後のリーグ戦成績は、16試合(先発7試合、フル出場1試合)、697分間出場、0得点1アシスト。ボルダラス監督の保守的なプレースタイルに大きな影響を受け、結果を出すのに苦しんでいる。

 ヘタフェはこの後、16日にホームで13位レバンテ、23日にアウェーで10位グラナダと対戦する。チームにとっても久保にとっても今季最後となるこの2試合、残留を決めるためにも絶対に勝たなければいけない戦いとなる。(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)