長引くコロナ禍、日本ではマスク生活がすっかり定着した。一方、テレビの画面に目をやると、多くのCMで出演者たちはマスクを着用しておらず。ふとしたときに、現実とフィクションの違いを感じることもあるだろう。

そうした中、出演者がマスクをつけていないことを注釈付きで説明したテレビCMもある。小売大手・イオン(千葉県千葉市)のプライベートブランド(PB)「トップバリュ」のテレビCMだ。

野菜売り場、親子の会話で...

「あっ、ママこれ〜きょうも買う?」「これおいしいよね。自然の味がするもんね」

スーパーの野菜売り場で、女の子と母親はこんなやり取りをしている。トップバリュのテレビCM「人と地球とハーモニー Live in Harmony with your dreams」での一幕だ。同CMはトップバリュ製品を生産する人と、それを手に取った人々の生活を対比した内容になっている。

ともすれば、何気なく見てしまいがちなテレビCM。だが、冒頭の野菜売場で親子が会話するシーン、画面の左下をよく見ると、こんな文章が添えられている。

「演出上の都合により、マスクは外しております」
「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店内ではマスクの着用をお願いしております」

J-CASTニュースが2021年5月12日、イオンの広報担当者に取材すると、CM自体は20年夏頃から放送されているものだという。注釈をつけた理由は、同社が同年6月に制定した「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」の中で、イオン店舗の利用客にマスクの着用をお願いしているためで、

「CMでは撮影上の演出のため、(出演者は)マスクは外しており、そのご理解のため、テロップを配置させていただきました」

とした。また、親子役で出演した2人は撮影2週間前から体調管理をおこない、当日も感染対策を徹底した上で撮影。CM内の注釈に対し、消費者から指摘や意見が寄せられたことはなかったという。