このほどインドで野生のゾウの群れが小さな町の森で暴れ出し、300本以上のバナナの木をなぎ倒した。騒動が落ち着いてから被害を確認していると1本だけ無事だった木があり、そこには生まれたばかりのヒナがいるツバメの巣があったという。怒りに震えても優しさを忘れないゾウの行動に、感動の声が寄せられている。『The Indian Express』などが伝えた。

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インド南部タミル・ナードゥ州エロード地区サティアマンガラの町で、5頭の野生のゾウが近くの森で暴れ出した。ゾウたちはクリシュナサミィさん(Krishnasamy)の敷地に侵入し、そこにあったバナナの木を次々となぎ倒していった。

ゾウの襲撃が一通り終わってクリシュナサミィさんは地元の人たちと被害の状況を確認すると、300本以上のバナナの木が被害を受けたことが明らかになった。たった5頭でここまでの被害を出したとなると、ゾウたちは怒りに任せて暴れていたと想像できる。

あたり一面がなぎ倒された木で埋め尽くされ、ほとんどのバナナがダメになってしまった中、1本だけ無傷の木があった。不思議に思い近づいたクリシュナサミィさんは、そこにツバメの巣を発見したのだ。巣は木に実ったバナナの房の上に作られており、さらにその中には4〜5匹の生まれたばかりのヒナがいた。

当時の様子を捉えた動画では、巣が置かれた木の周囲に多くの木が倒れていることが確認できる。300本以上の木を倒して大暴れしたゾウが、偶然この木だけを攻撃しなかったというのは考えにくく、ヒナに被害が及ばないように意図的に配慮した可能性が高い。

地元メディアが伝えたこの動画を、インドの森林管理局に勤めるパヴィーン・カスワンさん(Parveen Kaswan)がTwitterでシェアすると、37万回以上の再生回数を記録した。

このニュースを見た人からは、「ゾウは命の大切さを分かっているんだ」「素晴らしい大自然の一面だね」「動物は人間よりも繊細な生き物なんだよ」「親切な心を持つことに、動物も人間も関係ないさ」といった声があがっており、いくら暴れても優しさを忘れなかったゾウに多くの人が感動を覚えたようだ。

ちなみにゾウが暴れた原因や人への被害などは、現時点では明らかになっていない。

画像は『Kanlish News 2021年5月8日付「Elephants destroy over 300 banana trees, sparing one with a bird’s nest. Watch viral video」』『India.com 2021年5月8日付「Viral Video: Elephants Destroy Over 300 Trees But Leave One With Bird’s Nest Unharmed | Watch」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)