新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況をかんがみ、東京五輪の開催中止をもとめて、宇都宮健児弁護士がオンライン署名を呼びかけた。

5月5日、署名サイト「Change.org」で、「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます」と呼びかけ、6日午前11時時点で、約5万5000人が署名している。

集まった署名の宛先は、トーマス・バッハIOC会長や、菅義偉首相、丸川珠代五輪相、小池百合子都知事、橋本聖子東京五輪組織委会長となっている。

●五輪の開催極めて困難、国と都の失策を批判

署名サイトで、宇都宮弁護士は「東京都のみならず、国内各地、さらには世界各国では今日に至るまで新型コロナ感染拡大はまったく止まっておりません」としたうえで、7月からの東京五輪・パラ五輪の安全な開催は「極めて難しいと言わざるをえません」と指摘する。

五輪延期による追加費用が3000億円にものぼっているという状況に、その資源を、コロナ困窮にあえぐ人々に割くべきとも主張している。

「政府や都がいまだに五輪中止の判断や要請をしていないことはあまりに遅い失策」と、痛烈に批判したうえで、一刻も早い開催中止の決断を強くもとめた。

自身のツイッターでも、署名を呼び掛けている。

●GW中も生活困窮者が食料配布を受けている

宇都宮弁護士は6日、編集部の取材に「多くの署名が集まり、みなさんの関心が大変高い。本日にも、緊急事態宣言の延期発表が報道されている。五輪を実施すべきではない」と語る。

大型連休中の5月3日と5日には、日用品や食料を無償配布する「ゴールデンウィーク大人食堂」(千代田区の聖イグナチオ教会)が実施され、2日間で生活困窮者がおよそ800人来たという。

生活相談を担当した宇都宮弁護士は「政府の時短・休業要請で仕事を失った人などに、五輪の予算を回すべきです。国民は、もろ手をあげて五輪を歓迎できない状態です。政府が決断を先延ばしにするほど、コロナ対応も後手後手になります」と話した。

(※宇都宮弁護士の編集部へのコメントを5月6日12時15分に追記しました)