横断歩道は歩行者優先

 新型コロナ禍もあり、感染リスクの少ない移動手段としてクルマでの移動が見直されるなかで、クルマを運転する機会が増えた人も多いと思います。ゴールデンウィークなどの大型連休に入ったこともあり、久しぶりに運転をしたという人もいるのではないでしょうか。

 そこで、曖昧になりやすい横断歩道にまつわるクルマの交通ルールをまとめました。

クルマで横断歩道を横切るイメージ

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 クルマを運転する際の横断歩道付近における交通ルールは、道路交通法で以下のように定められています。

・横断歩道や自転車横断帯に近づいたときは、横断する人や自転車がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければならない。

・歩行者や自転車が横断しているときや横断しようとしているときは、横断歩道や自転車横断帯の手前(停止線があるときは、その手前)で一時停止をし、歩行者や自転車に道を譲らなければならない。
 
・横断歩道や自転車横断帯やその手前で止まっているクルマがあるときは、そのそばをとおって前方に出る前に一時停止をしなければならない。

・横断歩道や自転車横断帯とその手前から30メートル以内の場所では、ほかのクルマを追い越したり、追い抜いたりしてはならない。

・横断歩道、自転車横断帯とその端から前後に5メートル以内の場所では、駐車も停車もしてはならない。ただし、赤信号や危険防止のために一時停止する場合などは別です。

 これらは、道路交通法で定められる「横断歩道等における歩行者等の優先」という規定で、違反すると横断歩行者妨害違反。普通車で反則金9000円、違反点数2点が科されるだけでなく、場合によっては3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金となる可能性もあります。

 注意してほしいのは、この横断歩行者妨害違反は、歩行者がいる横断歩道への進入前に一旦停止が義務付けられているだけでなく、一旦停止をおこなったとしても、歩行者の前を横切ってしまうと違反となるという点。片道4車線などのかなり広い道路などで、歩行者が自分の運転するクルマに到達するまでに、横断歩道を通過できるという場合も含まれるのです。

 また、道路交通法には、「横断歩道のない交差点やその近くを歩行者が横断しているときは、その通行を妨げてはならない」とも規定されており、横断歩道のない交差点における歩行者の優先に違反した場合も、同様の罰則が科されるため、注意してください。

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 警察庁の発表によると、2015年から2019年までの過去5年間で、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は5931件発生しており、その約70%にあたる4278件は、歩行者が横断中の事故となっています。

 それらの横断中の事故は、歩行者が横断歩道以外の場所を横断している時も含まれていますが、道路の横断はどんな時も歩行者優先。クルマでの楽しいお出かけを台無しにしないためにも、安全運転を心がけるようにしましょう。