発がん性物質や鉛などの汚染物質が残っていることがある

 最近はガソリンスタンドがどんどんと廃業しているが、跡地は簡単に売買できないし、以前、石油業界の人からも「スタンドの跡地は、そのあとが大変」と聞いたこともある。理由は汚染されている可能性があるからで、売買が成立しないこともあったりと、けっこう深刻だったりする。

 ガソリンやオイルがこぼれたものやタンクから滲み出たものが、少しずつ下の地面に染み込んでいくのが一番の原因だ。汚染物質としては大きく3つあって、まずは単純に油分。滲みでてきたり、ニオイがすることもある。

 そしてふたつ目はベンゼンと呼ばれる成分で、これは発がん性があるとされているもの。現在は含有量が1パーセント以下とされているが、1996年から2001年までは5パーセントだったので、長く営業していたスタンドはとくに注意が必要だ。

 最後が鉛で、こちらも日本でガソリンの完全無鉛化が完了したのは1987年のことなので、最近営業を開始したスタンドであればいいが古いところは関係してくる。

 ただし、ガソリンスタンドの跡地の汚染状況を調査して、除染することは法律では義務化はされていないが、東京など条例で定めているところは必要だし、最近では不安を払拭するために、義務はなくても調査をすることも増えている。

 長くスタンドをやっていた土地は多かれ少なかれ汚染されているというから、実際はマンションなどを建てる場合は調査のうえで除染を行なう必要があって、肝心の費用としては100万円ぐらいかかるようだ。儲からないから廃業するのに、さらに100万円を払うというのはかなりきついようだが、そうしないとそもそもの土地売買価格が安くなってしまうため、除染は行なったほうが最終的には得になることが多い。

 当然、鉛やベンゼンの含有量が多かった時代にはまだ営業していなかったスタンドの場合、調査や除染は簡単に済ませられるので、費用は当然安くなって、10万円ぐらいになることもあるという。

 いずれにしても、営業していてもあまりもうからないし、辞めるのもすんなりいかないのがガソリンスタンドの現状ではある。