イタリア語で「凍った」という意味を持つ氷菓の「ジェラート」はイタリアの夏には欠かせないスイーツで、観光地ではそこかしこでジェラートスタンド・ジェラートショップが営業しています。世界的に有名なジェラートの価値を守るため、「品質基準を満たさないアイスクリーム」に対して最高1万ユーロ(約130万円)の罰金を科すという新法がイタリア上院で議論されています。

Italy considers ban on ice cream being pumped with air to make it look 'fluffy'

https://www.telegraph.co.uk/news/2021/04/18/italy-considers-law-freeze-rogue-gelato-producers/

Bad gelati could be illegal under new Italian law

https://www.smh.com.au/world/europe/bad-gelati-could-be-illegal-under-new-italian-law-20210419-p57kh4.html

Italy Considers Law Making Bad Gelato Illegal | Food & Wine

https://www.foodandwine.com/news/italy-gelato-quality-law

イタリアの中道左派政党である民主党とイタリア・ヴィヴァに所属する上院議員6名によって新たに提出された法案は、ジェラートに関する品質基準を定め、その品質を下回った場合には罰金を科すというものです。この法案が定めるジェラートは、原材料が「牛乳および牛乳の派生物」「卵」「新鮮な果物」のみとされ、香料や着色料、硬化油などの安価な人工材料を含むジェラートを販売した場合は、最高1万ユーロ(約130万円)の罰金が科せられる可能性があります。

また、同法案はジェラートに含まれる「空気」の割合が30%以下にならなければならないとも定めています。イタリア大手紙のIl Messaggeroによると、職人が作ったジェラートは牛乳や卵などをかき混ぜる際に空気が入るため、製品自体にも20〜30%の空気が含まれる一方、工場で作成されたジェラートには「80%」という非常に高い割合で空気が含まれているとのこと。この一件を大きく取り上げたIl Messaggeroは、「もはやジェラートを買っているのか空気を買っているのかわからない」と評し、ジェラート文化の堕落を非難していました。



イタリア政府が作成した資料によると、ジェラートの経済効果は約10億ユーロ(1300億円)で、イタリアを代表するブランドの一角だと位置づけられており、今回の法案も「イタリアの『美食のシンボル』の1つであるジェラートを守る」という名目の元に提出されています。同法案を提出した1人であるRiccardo Nencini上院議員は、「イタリアのジェラートはピザやパスタと並んで世界的に認知されており、我が国の美食のシンボルの1つですが、現行の法律では職人手作りのジェラートと、職人自身が守られていません」とコメントしています。