新型コロナ発生から1年。会社員の解雇だけでなく、経営者たちも倒産の憂き目に遭っている。元飲食店オーナーの男性は昨年4月に店を閉め、年240万円あった営業利益はゼロに。その後は貯金を切り崩しながら生活していたが、思わぬ出来事が理由で250万円を失ってしまったという。詳しい話を聞いた。

◆オンライン上で出会った美女に250万円を騙し取られる

 大塚敏明さん(仮名・49歳)は5年前、急逝した父親から小さな居酒屋を事業継承した。しかし、昨年2月末からコロナ禍による外出自粛で客足が減少。花見スポットの近くにあった店は、花見シーズン前から予約が殺到するが、昨年はキャンセルの電話が鳴りやまなかったという。

「3月初めに低金利の日本政策金融公庫に700万円の融資を申請しましたが、1か月たっても申請が下りませんでした。3月の売り上げは前年の2割にも満たず、昨年4月の初めに閉店しました」

◆緊急事態宣言でバイトもできず、鬱々とした日々

 大塚さんはその後、どんな1年を過ごしたのか。

 まず会社員時代の貯金1800万円を頼りに生活。緊急事態宣言で、つなぎのバイトもできず、鬱々とした日々を過ごしたという。そして2度目の緊急事態宣言が発令された今年1月、友人が少なかった大塚さんは寂しさからさまざまなマッチングアプリに登録した。

「外国人とのマッチングアプリ、Tinderで知り合った中国人の女性と意気投合して、LINEを交換しました」

 大塚さんは彼女と実際に会ったことはないが、アイコンの写真は、映画『初恋のきた道』のチャン・ツィイー似の美女。夢中になった大塚さんは、彼女からゲームアプリと仮想通貨で楽に稼げると指南され、試してみた。

「30分程度の作業で元金の10%も稼げるというオンラインゲームに彼女のアカウントでログインしました。画面をクリックするだけで掛け金が13%くらい増えました。そのお金が私の銀行口座に送金できるというデモ画面まで見せられたので、すっかり信用したんです」

◆「コロナ禍の不安と寂しさで、判断力を失っていたのかも」

 大塚さんは、彼女の勧めでビットコインの購入サイトに登録。合計250万円分のビットコインをつぎ込んだ。ゲーム内で300万円近くに増額したため、自身の銀行口座に出金しようとするが……。

「一向に着金されないんです。不安になったので、すぐ彼女に連絡したんですが、音信不通。平時ならすぐに詐欺だと見破れたはず。コロナ禍の不安と寂しさで、判断力を失っていたのかもしれません」

 就職先を見つける気にもなれず、1000万円を切った貯金をさらに取り崩しながら、家賃9万円の都内アパートで、一日の大半を過ごしている。

<取材・文/週刊SPA!編集部> ―[コロナ解雇、その後]―