妻への愛を歌ったバラードで

 世界的人気歌手であるジャスティン・ビーバーが、約6年振りにテレビ朝日のミュージックステーション(4月9日放送)に出演。その際に身につけていたジャケットの柄が旭日旗を連想させるとして、一部の韓国民を大いに刺激したのだった。幾度となく繰り返されてきた光景である。

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【写真】問題視されたジャケット

 この日、彼は最新アルバム「Justice」から、“Anyone”を持ち前の澄んだ声で披露した。この曲は、妻でモデルのヘイリー・ビーバー(旧姓:ヘイリー・ボールドウィン)への愛を歌ったバラードだ。

 しかし、このパフォーマンスとは関係なく、韓国人の一部は彼が着用していたジャケットの柄に刺激を受け、問題視したようだ。旭日旗を連想させるものだったからだ。

バラードを熱唱したジャスティン・ビーバー(@justinbieber)

 このジャケットは、Eli Russell Linnetz(イーライ・ラッセル・リネッツ)によるデザイン。

 イーライ・ラッセル・リネッツは、ジャスティン・ビーバーをはじめ、カニエ・ウェスト、レディー・ガガ、そしてテニスの大坂なおみ選手ら著名人らと交流があり、デザイナーとしてだけでなく、映画監督やフォトグラファー等、マルチな才能を発揮している人物だ。

 9日のミュージックステーションでジャスティン・ビーバーが着用していたジャケットは、「Sun Bomber Jacket(サン・ボンバー・ジャケット)」と名づけられ、セレクトショップのドーバーストリートマーケットなどで910ドルで販売されている。

韓国人がリアルタイムで見られる理由

 ここで、なぜ日本のテレビ番組を韓国の人々がリアルタイムで見ているのかと不思議に思う方も多いのではないかということで、少し補足しておこう。

 実は、韓国では日本のテレビ番組をリアルタイムで見られるチューナーをレンタル販売する業者が存在する。

 また、中国で同様のチューナーを購入して自宅のテレビに接続し、日本のテレビ番組を鑑賞している人も少なくない。海外出張に行った際にチューナーを大量購入し、オンラインで販売している人もいるくらいだ。裏返せばそれくらい需要があるということになる。

 今回のジャスティン・ビーバーの旭日旗問題も、恐らくそれらのチューナーを通して視聴していた人達から火がついたのだろう。

 ところで、旭日旗問題といえば、日本の人気アニメ「鬼滅の刃」の韓国版が記憶に新しい。

 主人公・炭治郎が身に着けている耳飾りは、花札をモチーフにデザインされているのだが、それを旭日旗だと一部の韓国人が主張。

 映画版は当初からデザインが変更されており、反日団体の指摘にNetflixも屈したのだった。

 過去には、東京パラリンピックのメダルのデザインも旭日旗に似ているなどと、韓国パラリンピック委員会が日本に異議申し立てを行ったこともある。

 更に、オリンピック関連で言えば、ロンドンオリンピック(2012年開催)の日本女子体操選手のユニフォームが赤と白の縞模様だったため、韓国メディアが「政治的宣伝行為だ」と騒いだこともあった。

 この時は、IOC会長のところにまで抗議しに行ったが、相手にされなかったようだ。

 この他にも、2017年にはバーガーキングより発売されたズワイガニバーガーの包み紙が旭日旗そのものだと騒いだり、自国内においても、タレントが着ているセーターやアイドルがSNSで使用したスタンプと絵文字が旭日旗であるなどと、批判の矛先は国内外関係なしに向かってきた。

 そして、その批判的な論調は、日増しにエスカレートしている。

統一教会のロゴにも

 ジャスティン・ビーバーに話を戻すと、2014年の訪日時に靖国神社を参拝した写真を自身のインスタグラムに掲載。これを見た中国や韓国のファンらから抗議のメッセージが後を絶たず、謝罪した過去がある。

 今回のジャケット騒動は、その過去と関連付けて韓国のメディアで報じられている。

 本来の旭日旗は、大日本帝国主義侵略を象徴するものでは全くない。そのように主張している国は韓国だけだ。

 最後にひとつ。

 韓国の新興宗教団体のなかに、世界平和統一家庭連合(旧:統一教会)というかなり大きな団体がある。

 日本にも信者が多く、過去には合同結婚式で韓国人男性のもとへ嫁ぐ日本人女性が話題になったこともあるから、この団体についてご存じの方は多いであろう。

 この世界平和統一家庭連合の前身である統一教会のロゴは、設立当初から1997年まで旭日旗をロゴの一部に取り入れていた。

 要するに、過去の韓国においても旭日旗的なものは問題視されるデザインではなかったのだ。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月15日 掲載