新型コロナウイルスの影響で来日が遅れていた新外国人選手を、どんな風に合流させるべきか? 好調なチームの方が難しそうである。

 「いきなり一軍で使う気であれば、次の巨人3連戦から(4月20日〜)でしょう」

 横浜スタジアムでの3連戦を終え、本拠地・甲子園球場への移動日に充てられた4月12日、矢野阪神のことが話題になった。「いきなり使うのかどうか」を問われていたのは、4月4日にようやく来日できたメル・ロハス・ジュニア外野手とラウル・アルカンタラ投手のことだ。

 「14日間の隔離期間が終われば、すぐにでもゲームに出られる状態だと聞いています。入国前にもしっかりトレーニングを積んでいたようです」(関係者)

 15試合を終え、11勝4敗。単独首位に立っている。好調な滑り出しができた勝因も、“外国人選手”なのだ。

 「サンズは本塁打、打点でリーグトップを争うほど。先発を任されたガンケルは3勝、防御率も0・96と絶好調です」(在阪記者)

 マルテも打率こそ低いが、出塁率では3割2分2厘を誇る。守護神・スアレスも目下3セーブで健在だ。外国人選手は5人まで一軍登録ができ、試合出場は4人。現在、矢野燿大監督は4人しか一軍登録していないので、メル・ロハス・ジュニアか、アルカンタラのどちらかを即登録できるが、試合出場させるとなれば、現登録の4人の外国人選手のうち誰か一人を二軍に降格させなければならない。

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 こうした現状を指して、「メル・ロハス・ジュニア、アルカンタラをいきなり使うのか?」がプロ野球解説者たちの間でも話題に上がっていたのだが、こんな話も聞こえてきた。

 「現一軍登録されている外国人選手の中で、年棒が一番低いのは、マルテ(推定6700万円)。マルテが外されると見ていい。年俸の高い選手から順番に一軍登録されるはず」(前出・関係者)

 年俸の高い順に使っていく…。外国人選手の一軍起用の場合、そういう見方もあるそうだ。

 確かに、阪神は外国人選手が活躍した年は強い。もっとも、チームが好調なので入れ替えを急ぐべきではないとの声も多く聞かれたが、プロ野球チームも“会社組織”である。矢野監督の意見が通るとは限らないのだ。

 「両打ちのメル・ロハス・ジュニアに注目が集まっています。昨季、韓国プロ野球界で本塁打、打点の二冠王になりましたが、『スイッチヒッターの長距離タイプはよほどのことがない限り、どの米球団も絶対に手放さない』と言うんです。致命的な弱点があるのではないか、と」(プロ野球解説者)

 メル・ロハス・ジュニアは父、大叔父もメジャーリーガーという野球一家に育っており、2017年WBC大会にも出場している。その素晴らしい経歴の持ち主が、なぜ、日本球界まで流れてきたのか、首を傾げる関係者も出始めた。

 阪神は自信を持って獲得したが、「弱点」が本当にあるのだとすれば、早く分かった方が良い。前評判通りなら、独走態勢も夢ではないのだが…。

 「マルテは昨年もチャンスに恵まれませんでした。二軍降格となったら、自分から退団を申し出るかもしれませんし、パ・リーグの球団がトレードを申し込んでくるかもしれません」(前出・在阪記者)

 メル・ロハス・ジュニアたちを一軍に合流させるタイミングが難しい。調整不足だとすれば、彼らがチームにブレーキをかけてしまう危険性もある。好調な滑り出しを見せたが、矢野監督の悩みは尽きない。(スポーツライター・飯山満)