【AFP=時事】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の夫フィリップ殿下(Prince Philip)が、中国訪問時に英国人学生らに述べた「目が細くなってしまうよ」という発言は、殿下の失言の中でも最も有名だ。しかし、その背後にある話はほとんど知られていない。

 フィリップ殿下に絶えずつきまとったこのエピソードは、殿下の軽率な発言を特徴づけるもので、その後も殿下を悩ませ続けた。

 発言があったのは1986年10月16日。1953年から英エディンバラ大学(University of Edinburgh)の総長を務めていた殿下は、中国を訪問した際、西安文理学院(Xian University)で北京語を学び始めたエディンバラ大学からの留学生らと対面した。

 その際に殿下が、「ずっとここ(中国)にいたら、目が細くなってしまうよ」と発言したと報じられた。これとは違う表現で伝えた報道もあったが、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)は、そうした趣旨の発言があったことを認めた。

 しかし、この報道には見過ごされていることがあった。殿下に関する二つの伝記によると、殿下の発言の背景には中国の言い習わしがあったが、それが報じられなかった。

 中国の若者は年長者から冗談で、西洋に長く滞在して「丸い目」にならないようにと言われる。中国人らしさを失う前に帰ってくるようにという意味だ。

 この殿下の発言は、英国で騒動を引き起こしたが、中国ではそうはならなかった。

 大衆紙サン(Sun)で1976〜1990年に王室担当記者を務めたハリー・アーノルド(Harry Arnold)氏は、「殿下にとってはつらい時期で、結果として彼は多くの批判を受けた」と述べた。

 エディンバラ出身で1982〜2008年に英紙タイムズ(Times)の王室担当記者を務めたアラン・ハミルトン(Alan Hamilton)氏は、殿下の冗談は、王族訪問の「堅苦しい儀礼的行為」にしばしば伴う「高い緊張状態」を打破するためだったと擁護した。

 ハミルトン氏は、2011年に書いた文章の中で、「彼(殿下)は、緊張をほぐすには、若い男が言いそうな、予想もしていなかったやや不適切な冗談より良いものはないと十分に理解していた」とした上で、「腹を立てるのは冗談を言われた相手ではなく、殿下を恥ずかしい時代錯誤の存在と見なす中流階級のコメンテーターだ」と指摘していた。

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