7年間の逃亡生活を続けていたイタリアマフィアが逮捕されたというニュースが届いた。長期間逃げ延びていた男の逮捕のきっかけはYouTubeに投稿した料理動画で、顔を隠して出演していたもののタトゥーが警察の目に留まり御用となった。ネットの力を侮った結果に、「コメディ映画の結末みたい」と笑いの声が寄せられている。『BBC News』などが伝えた。

イタリアのマフィアであるマーク・フェレン・クロード・ビアート(Marc Feren Claude Biart、53)は、オランダにコカインを密輸した疑いで2014年より指名手配されていた。

イタリア警察によると、マークは世界有数の大きな勢力を持つ犯罪組織「ンドランゲタ(’Ndrangheta)」に所属しているという。同組織はヨーロッパで流通するコカインの80%に関与していると言われており、そのネットワークはヨーロッパだけではなく南アメリカやカナダにまで及び、主にコカイン密輸の仲介役として動いていると関係者は話す。

マフィア捜査官のジュゼッペ・ゴーベルナーレさん(Giuseppe Governale)は、同組織のマフィアたちを「奴らはまるで水のようだ」と語り、つかみどころがなく逮捕するのも難しいと明かしている。

警察はマークを危険人物として扱い逮捕に向け尽力していたが、なかなか捕まえることができず7年もの月日が流れた。

そしてある時、YouTubeに投稿された1本の料理動画に警察の目が留まった。動画に出演している男は顔を隠し、妻と一緒に得意の料理を披露していた。しかし体に刻まれていたタトゥーが、マークが持つものと同じであると判明したのだ。

警察がこの動画をもとに捜査を進めると、マークはドミニカ共和国のボカ・チカに身を潜めていることが分かった。そして先月24日にマークは同国で逮捕され、イタリア警察に身柄を引き渡された。

マークが潜伏していた地域では移住してきたイタリア人コミュニティもあったそうだが、ここには近づかずに“幽霊”のように過ごしていたと現地メディアは報道している。マークは逃亡開始当初、コスタリカに身を潜めており、5年前にボカ・チカに移り住んでから動画の投稿を始め、趣味として継続していたそうだ。

このニュースを見た人々からは、「マフィアにも趣味はあるだろうね」「コメディ映画みたいな展開だ」「SNSのせいで捕まるとか、本当に愚かでしかないよ」などのコメントがあがっている。

ちなみに、コメント欄では「イタリア料理好きだからマークのチャンネルが知りたい」「どんな料理作っていたのか気になるね」と動画への興味を示した人の声が多数見られたが、現在のところチャンネル名などは明かされておらず、動画のURLなども公表されていない。

画像は『The Washington Post 2021年3月30日付「For years, a mafia fugitive hid from police. Then they spotted his Italian cooking videos on YouTube.」(Italian State Police Press Office)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)