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2012年に、飯塚健監督のオリジナル戯曲として上演されて反響を呼び、後に小説化もされ、満を持して映像化された『FUNNY BUNNY』。うさぎの着ぐるみによる図書館襲撃とラジオ局電波ジャック、2つの事件に隠された謎と悲しい真実が描かれる。

劇場と配信で同時ロードショーされる今作。本記事では飯塚監督と主演の中川大志のインタビューを通して、映画配信という取り組みについてや、作品の魅力に迫っていく。おかしくて、切ない物語の中に散りばめられた希望の光は、先が見えない不安を抱える現代人の心に強く突き刺さるだろう。

映画館の大スクリーンで臨場感を体感するのもよし、時間や場所を選ばずにのんびり楽しむのもよし。それぞれの鑑賞スタイルで『FUNNY BUNNY』の世界観に浸ろう。

撮影/アライテツヤ 取材・文/花村扶美

※撮影・取材は新型コロナウイルス感染症予防に配慮したうえで実施しました。
※このインタビューは2021年4月25日からの緊急事態宣言発令前に実施されました。

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左から中川大志、飯塚健監督

映画を観る手段が増えて、ひとりでも多くの人に観てもらえたら

中川大志さんのカメオ出演も含めて、おふたりがご一緒するのは今作で6度目ということですが、最初の出会いを覚えていますか?
中川 最初は2015年のドラマ『REPLAY&DESTROY』ですよね? 僕は、ゲスト出演だったんですけど。
飯塚 『REPLAY&DESTROY』のオーディションです。大志は当時、16歳くらいだったと思うけど、たぶんすげぇ怖い人だと思われました(笑)。
中川 アハハハ。でも、現場で監督といろいろ話しながら作品を作っていく時間は、すごく刺激的で楽しかったですね。
飯塚 それから、映画『全員、片想い』(2016)で一緒に仕事して、少しずつ距離が近づいていった感じです。
今回、おふたりがタッグを組んだ映画『FUNNY BUNNY』ですが、いつ頃から動き出したんですか?
飯塚 本格的に動き出したのは、去年の11月からです。ただ、小説は数年前に渡していました。
中川 出会ってまだ間もない頃から、会うたびに「いつか映画化したいんだ」という話はされてましたよね。
このプロジェクトが動き出したとき、映画館と配信で同時公開されることはご存知でしたか?
飯塚 撮影の前にはもう聞いていました。
撮影のときに、スマホなどの画面で観られることを意識したり?
中川 僕も同時公開されることは聞いていましたが、だからといって、何も意識してなかったです。ただ、映画を作ってるという感覚でしかなかったですね。
飯塚 ネット配信のみの場合だったら意識しますが、『FUNNY BUNNY』は映画館で上映するのが前提だったので、特別なことは考えませんでした。
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、海外や日本でも、映画館とネット配信の公開に踏み切る作品が増えてきました。
飯塚 映画館に行きたくても行けない人たちが家で安全に観られるっていうのは、すごくいいことだと思います。こういった流れは今後いっそう加速するでしょうし、特に今の若い世代は、映画をスマホで観ることに抵抗がないですよね。

「映画館で観てほしい」って言い続けるだけでは、観てほしい人たちに届けられない現状があると思うので、どんどん多様化していいと思っています。

ただ、映画は映画館で観るものだと僕は今でも思っていますし、やっぱり映画館で観てほしいですよ、そのために作ってるので。でも頑なにそういうわけでもなくて、これからの時代、チャンネルはいくつかあっていいんじゃないか、もっと柔軟でいたいなとは思います。
中川 僕も同じです。映画館のパワーはやっぱりすごいと思ってるので、間違いなく。だからスクリーンで観てほしいっていう思いはもちろんあるんですけど、配信によって映画を観る手段が増えて、ひとりでも多くの人に映画を観てもらえることは一番うれしいことですね。

今までの、よしとされてきた概念みたいなものを一度取っ払って、いろいろなやり方があることを僕たちも考えていかなきゃいけないと思っています。
今回は同時公開なので、映画館で観てから家で観直したり、または逆のパターンなど、映画の楽しみ方も広がりそうです。
中川 そうですね! まずは気軽に配信で映画を観ていただいて、臨場感を味わうために映画館へ足を運んでいただけたら、さらにうれしいです。
自宅で映画を観る環境も変わってきていると感じます。
飯塚 10年前は、ホームシアターといえば、お金持ちしか手が届かなかったと思うんです。でも、映画館のスピーカーほどではないけど、今はお家でもサウンドバー1本で臨場感あるサラウンドが楽しめるし、テレビのサイズ自体も大きくなってきてますよね。だから、家で映画を観るのも悪くない環境になってきたと思います。
毎年、ホームシアター用のスピーカーやスクリーンなど、新商品が発表されていますし。
飯塚 今後もクオリティはどんどん上がりますよね。でも映画館には映画館のよさがあって。今は難しいのかもしれないけど、友だちや恋人と観に行って、ああだったこうだったって映画の話をする。そうやって僕らは映画を観ていた気がするんですよ。

それに、デートで映画に誘うっていう、男の子のあのドキドキ感とか、なくなってほしくないですね(笑)。
中川 うん(笑)。

「映画館はライブ」――映画館でしか味わえない体験がある

お客さん自身が作品を観る手段を選択できるというのは、エンタメ界全体で見れば喜ばしいことだと思います。
飯塚 そうですね。今後、同時配信自体が普通になっていくでしょうし、どういう形であれ映画を観る人が増えることはいいことだと思います。

ただ、映画館でも映画を楽しんでもらえるように、映画館に来てもらうための何かをやらないといけないと思っています。映画館で観る価値は何なのかを、考えていかないとですよね。

匂いがするとか水が出るとか(笑)、アトラクションのようなことでもなく、音響など設備面でもなく、もっと何かできることがあるはずなんですよ。映画館はライブなんだということを、もっとわかってもらえるようにできないかと思い始めています。
隣で知らない人同士が映画を観るという環境も、映画館の魅力のひとつだと思います。
中川 そうですよね。コロナ禍で、音楽のライブ配信も増えましたが、配信で観れるのはうれしいけど、会場に行かないとあの空気感や一体感は味わえないわけで。同じように、映画館でしか味わえない体験は知ってほしいなと思います。
飯塚 スクリーンに対する席数のバランスを考えるのも、ありかもしれないですね。昔、チネグランデ(2011年に閉館された神奈川県川崎市の映画館)で、『ハムナプトラ2』(2001)を1,000人近くのお客さんと観たときの熱狂が忘れられなくて(笑)。最高に楽しかったんですよね。

だから800席以上の大型スクリーンの映画館と、50席以下のミニシアターを完備したシネコン(複合型映画館)があると面白いなと思うんですよね。似たようなサイズのスクリーン体制じゃなくて、映画館の広さも多種多様になれば、さらに価値が生まれるんじゃないかなと思います。

監督との仕事は、思いもよらないところへ連れて行ってもらえる

作品についてもお聞かせください。中川さん演じる主人公、自称小説家・剣持聡は、自らの正義のもとで奇想天外な騒動を繰り広げますが、人生につまずいた若者に、再び生きる希望を与えていきます。
中川 出演が決まる前から、監督から原作をいただいて読んでいたので、僕が演じた剣持や作品に出てくるキャラクターたちと、出会ってからけっこう長い時間があったんですよね。

だから、自分の中の剣持像みたいなのが、早い段階から出来上がっていたところがあって。自分が剣持を演じなかったとしても、剣持はこういう男であってほしいという思いが強くありました。
具体的に、剣持はどういう男だと思いましたか?
中川 映画紹介の記事でも、剣持について「ダークヒーロー」という言葉が出てくるんですけど、本当にそのワードがハマっている人物で。剣持は、すごくユーモアがあって、何事にも動じず物事を楽しんでる男だと思うんです。

でも、そのユーモアはどこから来ているんだろう?って考えたときに、過去の出来事や背負っている闇の部分が深くて重いからこそ、ユーモアでバランスをとってるんじゃないかなって思ったんです。
だから剣持には、どこか引き込まれる魅力があるんですね。
中川 ダークな部分というのは、表に出さないし見せないところではあるんですけど、原作には描かれていない家庭のことや、育ってきた環境なども考えて役作りをしました。あとは何事にも命をかけるくらいまっすぐに向き合える男で、そこがすごくカッコいいと思ったし、男としても憧れる部分でしたね。
役作りもしっかりできていたということは、撮影もスムーズに進んだのでは?
中川 あるとき、本当に何気ない僕の動きに、監督が「剣持ってそういうことをする男なんだね」っておっしゃったんです。そのときに、僕の中のこうありたいという剣持像を、監督が受け止めてくれた感じがしたんですよね。
飯塚 何年も前から小説を読んでくれていたことと、脚本も相当読み込んでいてくれたのがわかっていて。僕自身、オリジナルを作るのは初めてではないですけど、自分の中でもあんまり決めすぎたくないというのがあって。自分が過去に書いたものに縛られそうでイヤだったんです。

だから、あえて多くを説明しないまま撮影に入って、現場で膨らませていくような形にしました。でも、人物の芯みたいなところはとらえてくれていたので、話は早かったですね。
主演映画では『虹色デイズ』(2018)以来3年ぶりですが、おふたりが監督と俳優の関係で今までに6回も一緒にお仕事をされているのは、強い信頼関係が築かれているからだとも思います。気が合うと感じるところがあるんですか?
飯塚 合うところと合わないところのバランスが、ちょうどいいからなんだと思います。合いすぎると、発展ってしなくなると思うんです。

僕は、言いなりになってくれる人と仕事をしたいわけじゃなくて、発想がある人と仕事をしたいんですよね。大志は若い頃から、自分の意見をしっかり持っていたし、キャッチボールを続けることができたのは大きいですね。
中川 最初の『REPLAY&DESTROY』の現場でも感じたんですけど、監督との仕事は自分の脳みそでは想像しないことが起きるのが楽しくて(笑)。

いつも、脚本を読むときも撮影のときも、どうなっていくんだろうって、自分なりにいろいろ想像しながら作っていくんですけど、監督は思いもよらないところに連れて行ってくれるんですよね。それは作品が変わっても毎回あって、新鮮だし刺激的で楽しいんです。

残された人が、どうすればまた前を向けるのかを描きたかった

中川さん演じる剣持と、岡山天音さん演じる剣持の親友・漆原聡は区立図書館を襲撃しますが、図書館内でのやり取りがまるで舞台を鑑賞しているかのようでした。
飯塚 あの演出は、観てくださる人に没入してほしいなと思ってやりました。視界も薄暗くしているし、普通は音楽を流したりするところなんですが、今回は極力避けました。
言われてみれば、音楽がなかったですね。
飯塚 そう、図書館に突入してから音楽を流してないんです。暗闇の中での足音や話し声も感じられるように。そこが舞台っぽいのかもしれないですね。臨場感という意味で。
映画の後半で、田中俊介さん演じる藤井元伸の声で語られる「人生には急に絶望が降りかかるときもある」というセリフが印象的でした。大切な人の「死」がテーマのひとつだと思うんですが、監督の人生観や死生観が込められているのでしょうか?
飯塚 人が生きていく中で、一番大変なことが誰かの死と向き合うことだと思います。絶対にそむけることはできないし、それが一番しんどいことだと思うんですね。
たしかに、一番つらいことかもしれません。
飯塚 たとえばですけど、余命がわかる状態で向き合っていくのと、交通事故などで急に亡くなる場合とどちらがつらいか?みたいな議論をすることがあると思うんです。答えはどうであれ、どちらもしんどいのは違いないですよね。

人はこの世に生まれてきた限り、必ず死ぬので、残された人が最期、どういう向き合い方をすればまた前を向けるのかということを書きたいと思いましたね。僕は早いうちに親を亡くしているので、そういう気持ちは大きいのだと思います。
監督の話を聞いて、中川さんはいかがですか?
中川 この題材をやるにあたって、僕は人が死んだ後のことを考えました。まわりの憶測や心ない言葉で、残された人がショックな思いをすることがあったり、死んでしまった人には謝ることもできない。それがすごく悔しくて…。全部ひっくるめて、そういう苦しい思いやすべての感情を剣持という役に乗せて演じました。
友情や愛情、死生観などの深いテーマは観る人の心を揺さぶると思います。ぜひ多くの方に映画を届けたいですね。
飯塚 映画館と同時に配信でも観られるので、コロナ禍の状況もあって映画館になかなか足を運べない人は、ぜひ配信で観ていただければと思います。配信であれば、好きな環境で観てもらえて、お気に入りのシーンを何度も観ることができますし。
中川 映画館で観ていただくのはもちろん、配信によって、より多くの人に映画を楽しんでもらえたらと思っています。
――『FUNNY BUNNY』公式サイト&視聴はこちら
飯塚健(いいづか・けん)
1979年1月10日生まれ。群馬県出身。O型。2003年の『Summer Nude』で映画監督デビュー。主な監督作品に、2011年の『荒川アンダーザブリッジ』、2014年の『大人ドロップ』、2017年の『笑う招き猫』、2018年の『榎田貿易堂』『虹色デイズ』、2020年の『ステップ』など。また、『FUNNY BUNNY』をはじめとする演劇作品、MV、小説、絵本の出版と活動の幅を広げる。2021年5月には映画『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』の公開が控えている。
    中川大志(なかがわ・たいし)
    1998年6月14日生まれ。東京都出身。B型。2009年に俳優デビュー。主な映画出演作に、2017年の『きょうのキラ君』『ReLIFE リライフ』、2018年の『坂道のアポロン』『虹色デイズ』『覚悟はいいかそこの女子。』など。NHK大河ドラマ『真田丸』をはじめ、NHK連続テレビ小説『なつぞら』、ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』『G線上のあなたと私』『親バカ青春白書』などに出演。主演映画『砕け散るところを見せてあげる』が公開中。2021年の公開待機作に『犬部!』がある。さらに2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』への出演を控えている。

    作品情報

    映画『FUNNY BUNNY』
    2021年4月29日(木・祝)より、全国の映画館、auスマートパスプレミアムにて同時ロードショー
    公式サイト&視聴はこちら
    https://entm.auone.jp/camp/funny-bunny/lpc
    公式Twitter
    https://twitter.com/FUNNYBUNNY2021
    監督/脚本/編集:飯塚健
    キャスト:中川大志、岡山天音、関めぐみ、森田想、レイニ、ゆうたろう、田中俊介、佐野弘樹、山中聡、落合モトキ、角田晃広、菅原大吉ほか

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    ©2021「FUNNY BUNNY」製作委員会

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