テーマ型投信とETFの違いに戻ります。そもそもの話になりますが、テーマ型といいますのは、例えば、日経平均全体やTOPIXのように株式市場全体の動きに連動するものとは異なり、将来性、成長性が見込めるテーマについて、メソドロジーという一定のルールを構築し、それに基づき投資対象を選定するものです。言い換えますと、アウトパフォームしたい、日経平均、TOPIXという全体株式市場よりもいいパフォーマンスを出したいということです。そういう意味ではアクティブ運用と類似した特徴があり、かつ、先ほど少々お話ししました信託報酬は総じて低めに抑えられていますので、アクティブ運用のいいところとパッシブ運用のいいところを併せ持ったプロダクトと言えます。

朝倉:いいとこどりをするという感じですね。今お話しいただきましたテーマ型ETFは、米国において非常に成長しているというイメージがあります。米国のテーマ型ETFの状況について教えていただきたいと思います。

金村氏:米国Global Xの調査データに基づいてお話します。まずテーマ型に限らないETF全体の残高は2019年12月末からちょうど1年後の2020年の12月末で、25%成長しております。

 一方、テーマ型ETFの残高は、274%成長しております。ただ、アメリカ市場においてもまだテーマ型ETFは歴史がそれほど長くありませんので、今成長を急激に始めたというような状況になります。全ETFに対してテーマ型ETFが占める割合は2019年12月末で0.6%でした。それが2020年12月末には1.9%、円換算しますと大体11兆円ぐらいの残高になりました。

 ちなみに今テーマ型ETFの残高が約11兆円と言いましたが、米国のETF全体の2019年12月末時点の残高は、4.4兆米ドル、約4百数十兆円だったのが、2020年12月末時点では580兆円ぐらいになっております。東証一部の時価総額が大体670〜680兆円ぐらいですので、非常に大きな市場になっています。

朝倉:金村社長は金融・投資の世界に非常に長くいらっしゃいますので、精通されていると思うのですが、いわゆるETF全体でも25%の増加、これもなかなか近年にない成長率ですね。さらにこのテーマ型は274%。しかし、全体に占める比率はまだすごく小さい。

金村氏:伸びしろがあると言えるかと思っております。

朝倉:非常に楽しみですね。今、米国で成長が続いているというお話をいただきましたが、Global Xの米国上場ETF、その一部は日本でも登録されていて、取引可能なんですね。

金村氏:はい、そうです。現在、24銘柄の米国Global XのETFが日本で登録されております。これは取り扱いのある証券会社で投資可能になっています。

 特にご好評いただいているテーマ型ETFが次の3つです。1つは、「グローバルX クラウド・コンピューティングETF(CLOU)」です。これはクラウドコンピューターにフォーカスしたETFになります。次に、ゲーム&eスポーツのETFで、これが「グローバルX ヒーローズ(HERO)」です。3つ目が最近上場した「グローバルX リチウム&バッテリーテックETF(LIT)」で、高まるリチウムへの注目を受けて、こういったプロダクトに米国投資家の資金が流入してきています。

 配当の高い銘柄への投資を目指すのがインカム型です。代表的なのがアメリカの優先出資証券に投資します「グローバルX米国優先証券ETF(PFFD)」。それ以外ですと、カバードコール戦略を行う、「グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF(QYLD)」がございます。

 銘柄を一つ一つ全部調べるその労力をスキップし、まとめて投資することが可能なETFになっておりますので、それがアメリカ国内で成長している原動力の一つかと考えております。

朝倉:今、幾つかご紹介いただきましたETFですけれども、米国のモーニングスターが評価をしているものが入っています。3年以上トラックレコードがあると評価ができまして、5段階評価になっています。「リチウム&バッテリーテックETF」は4つ星を獲得しております。米国優先証券、NASDAQのカバードコールは、二つとも5つ星を獲得しています。そういった意味では、モーニングスターも非常に高い評価を付けているETFを、日本の投資家も買えるということなのですね。(2回シリーズの2に続く)(情報提供:モーニングスター社)