輝かしい未来を見据えて猛勉強。努力が実って難関大学に入学、卒業し“高学歴”という肩書を得たにもかかわらず低収入に陥っている人がいる。なぜエリート街道から外れてしまったのか。早稲田大学卒業も、現在の年収200万円になった40代女性を取材。言うに言えぬ低収入の理由とその背景に迫る!

◆狙うは常に「トップ」も息切れ。レールを外れ、転職に次ぐ転職

 早稲田大学第一文学部卒の太田みさえさん(仮名・42歳)は、就職氷河期真っただ中に大手銀行に一般職として入行、20代半ばで結婚と幸せな人生を送ってきたが、あるとき風向きが変わった。

「第1子の育児休暇の終盤に第2子の妊娠が判明し、立て続けに産休に入る形に。職場の人からは『給料だけもらえていいね』と疎まれました。銀行員時代の月収は手取り20万円程度でしたが、年功序列である程度昇給は見込めたはず。でも気まずいし、後輩に職階を抜かれた恥ずかしさもあり、そのまま退職しました」

 育児が落ち着いてきたころ、大手企業勤めで共働き志向の強い両親から「そろそろ働けば」と促されて再就職を決意。これまでの人生の成功体験から、彼女自身も再就職でキャリアアップできるとタカをくくっていたが……。

「復帰1社目、2社目の会社では昇給が叶わず、どちらも3年で辞めました。資格やスキルを身につけてこなかったので仕方ないですが、どこでも一番下からのスタートになることが、ふと受け入れられなくなる時期が来るんです。それが3年なんだと思います」

◆学歴に絡めた嫌みに魂は悲鳴

 彼女より低学歴でも有能な人と比較されることも多く、「早稲田で何を学んできたんだ」など学歴に絡めた嫌みに魂は悲鳴を上げる。

「いい大学、いい企業に入れば安定した人生を送れると信じ、勉強を頑張り、現役で早稲田に入りました。それなのに当時の努力は報われないなってつくづく思います」

◆現在の年収は200万円

 現在の仕事は、保険の外交員。契約ノルマを達成できなかった月の最低保証額はわずか5万円で、年収も200万円程度。

「ノルマもキツいし、交通費も自腹で正直生活も苦しいけど、この年で業界トップクラスの企業の正社員になれた喜びのほうが大きいので、なんとか続けられています」

◆大学時代は「トップ」にこだわる人生だった

 大学時代はファッションにお金を使い、所属していたサークルでは幹部の男性を彼氏にするなど「トップ」にこだわる人生だったという。

 一旦レールから外れると再就職では簡単には戻れない現実がある。

<取材・文/松嶋千春(清談社)>

―[高学歴貧困の末路]― 【松嶋千春】
様々なメディア媒体で活躍する編集プロダクション「清談社」所属の編集・ライター。商品検証企画から潜入取材まで幅広く手がける。