来る東京五輪陸上競技では、選手に関する二つの情報が公開されなくなる。2月15日、日本陸上競技連盟(日本陸連)が、アスリートの身長・体重を非公開にすると発表したのだ。

 スポーツ紙のデスクが解説する。

「日本陸連では選手の個人情報について、どこまで明らかにするのか検討していましたが、今回、身長と体重の非公開を決めたのは、インターネットの掲示板などで女子選手の無月経の話題が取り上げられるようになったことが大きいのです」

 陸上競技の中でもマラソンやトラック競技では太り過ぎを防ぐため、コーチがダイエットを指導することがある。しかし、それが行き過ぎると、無月経などの障害を引き起こしてしまうという。

「女性の生理は肥満度と関連性があり、その指数であるBMIが16未満になると無月経を引き起こしやすいのです。BMIは体重÷身長の2乗で表しますから、身長と体重を公表していると簡単に算出できる。そこから性的な憶測がネットに広まってしまうことがあったのです」(同)

 いったんネットでいい加減な情報が広まると、火消しが簡単でないことは言うまでもない。

個人情報保護という名のベールが

 日本陸連評議員で、スポーツジャーナリストの増田明美氏によると、

「最近では海外の大会でも選手の体格に関する情報公開が減ってきています。陸上は体重別のクラス分けがないので、少なくとも体重の情報は必要ではないという理由もある。以前は私も解説の際に“少しふくよかになってきましたね”なんて言っていましたが、これからは体重については触れません。身長も、選手本人に了解を得てから、話題にするつもりです」

 一方、疑問を呈するのはスポーツライターの折山淑美氏だ。

「たしかに、身長・体重の公開にリスクがあるというのは分かる。しかし、スポーツは競技を見て楽しむだけでなく、選手の特徴を知ることで、より理解が深くなるものです。バレーボールが選手の身長と切り離せないように、体格が勝敗を左右することもある。体重は常に変化するので公開の必要は感じませんが、身長は明らかにしてもよいのではないでしょうか」

「週刊新潮」2021年3月4日号 掲載