妊娠、出産は一般におめでたいものだ。とは言え、雇用する度に妊娠、そして退職や休職をされていては、思わず頭を抱えたくなる管理職もいるかもしれない。はてな匿名ダイアリーに3月上旬、「採用した社員が妊娠して全員いなくなった件。」というエントリがあり注目を集めた。

投稿者は、地方の零細企業で中間管理職を務めている。アラサー独身、彼氏ありという人物だ。部署は3人チームで、投稿者のほかに男性1人、女性が1人という体制。「残業は月10時間未満でそこそこ地方にしては給与がよい」というが、昨今の不況もあり、これ以上の事務方を雇う余裕はないという。

事の発端は半年前だった。女性が突然妊娠を打ち明け、退職したのを皮切りに、その後も女性を雇う度にすぐに妊娠が発覚。2人続けて休職していったという。(文:okei)

「私は人柱になる覚悟をした」


最初の女性とは何度も話し合い、リモートワークや働く時間など聞ける要望をすべて聞いた上で、どうしても体調が悪くて仕方ない退職だったという。代わりに入社してきた社員は3か月前に採用し、今度はきちんと本人のライフプランなどを考慮に入れたつもりだったが、入社翌月に妊娠が発覚した。

平謝りしつつ、休職を申し出る彼女に「謝らないで欲しい、素晴らしいことだから。私が業務を引き受けるから」と答えた投稿者。だが、実は心の中で「子どもはまだだって言ってたやんけ」と女性に突っ込みを入れつつ、

「独身未婚アラサー彼氏ありの私は人柱になる事を覚悟した」
「ちょまって、管理職辛い、人柱」

と苦しい思いを吐露していた。そして1か月半前、今度は独身女性を採用した、彼女ならば……と思っていたものの、「すみません、実は妊娠しまして体調辛いので一旦休職します」と告げられたのが一昨日という。投稿者は、

「弊社は子宝に恵まれるご利益でもあるんか……?もしくは私がパワースポットか?採用が終わらない……。勘弁してくれ」

と冗談めかして悲鳴をあげていた。

"二度あることは三度ある"というが、入社翌月や1か月半で休職では、雇用する側もさすがに困惑するだろう。募集の費用や面接の手間といった採用コストもかかる。投稿者の言う「人柱」は、つまり自分が犠牲になることだ。会社に滅私奉公するだけでなく、もし結婚したいとすれば自身のライフプランをも犠牲にせざるを得ない可能性を案じている。

妊娠する女性を責められないが、良心的な投稿者が気の毒

なお、産休は雇用形態に関わらず誰でも取ることができるが、パートや契約社員などの有期雇用の場合は、1年以上雇用され、産後も働くことが見込まれるなどの条件がある。つまり、投稿者の部下は皆、正規雇用とみられる。

また「産休」が取れるのは出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)からなので、妊娠初期では「休職」扱いになったのだろう。育休や産休は法律で規定されているが、休職できるかは会社によって異なるため、それなりに良心的な会社であることがうかがえる。ただ、人手不足は何ともしがたいようだ。

はてなブックマークには、さまざまなコメントが寄せられた。

「そこで子育てひと段落したかーちゃん人材ですよ」
「ええ感じでしょ気前よく採用してるし、何ハラでもないし。国や自治体はこういう企業に気前よく助成金出せば良いのに」
「少子化対策担当大臣に見つかってほしい」

投稿者の苦労を偲ぶ声は多く、内心はどうあれ、快く休職を受け入れる面も評価されていた。

一方、足りない人手を独身者や管理職で残業し、カバーしたという経験談や「ある年齢の女性を採用するのはリスクになってしまう」といった感想を挙げる人も散見された。今後、介護で休職する人は性別年齢を問わず増えることを考えると、出産可能年齢の女性をやり玉に挙げることは避けたいが、この件ばかりは投稿者が気の毒でならない。