「昨年のマスク不足の時期は『お金を払ったのに通販で注文したマスクが届かない』という相談がありました。ここ最近は、血中酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターが、『届かない』『頼んでもいないのに送りつけられた』というトラブル事例が報告されています」(国民生活センター担当者)

新型コロナウイルスに乗じた悪質な詐欺が後を絶たない。防犯アドバイザーの京師美佳さんが、警鐘を鳴らす。

「自治体職員を名乗り、架空の“母子家庭や高齢者家庭への給付金”をもちかけ1万〜3万円の手数料をだましとる。“マスクやアルコール消毒液を無料配布する”と家族構成や在宅時間を聞き出し、空き巣や強盗の予備調査をするーー。犯罪者は、こうした世の中の動向、人々の不安を敏感に察知して、思わず飛びつきたくなる手口を考えているのです」

甘い罠にかからないために、最新の手口を見ていこう!

【手口1】“annazon”フィッシング詐欺

《あなたのアカウントが不正に利用されたため、一時的に利用を停止しています》

ネットショップのサイトを装ったメールが届き、あわてて指示どおりサイトにアクセスし、パスワード、カード番号などを再入力すると、個人情報が盗まれてしまう。昨年12月、芸人のエハラマサヒロは、盗まれた情報でカード利用され、40万〜50万円の被害にあったと告白した。

「コロナ禍でネット通販を利用している人が増え、こうした詐欺が横行しています。カード限度額まで買い物をされる被害も。メールのリンク先のサイトがAmazonそっくりになっていて、URLも『annazon』になっているなど、『amazon』と混同しやすい詐欺メールもあります。こうしたメールに表示されたURLをクリックしてはいけません。不正利用が心配な人は、メールをいったん閉じて、改めてネット検索をして、公式ホームページからマイページ、マイアカウントにアクセスして履歴などを確認しましょう」(京師さん・以下同)

スマホのSMSに《不在の為お荷物を持ち帰りました。ご確認ください》とあやしいURLに誘導させる詐欺も、同様の手口だ。

「不在通知は誰にでも思い当たるためだまされやすい。宅配ボックスを購入し、置き配できるようにしておけば、こうしたメールを怪しめるでしょう」

【手口2】初回無料、お試し価格詐欺

健康食品や化粧品のネット通販で、最近、顕著なトラブルが“初回無料、お試し価格詐欺”だ。

「悪質業者への罰則強化が検討されるほど、被害が増加しています。サンプル無料、初回無料などの言葉に引かれて取り寄せると、2回目以降も送りつけてきて、高額の支払いを請求するしくみです」

国民生活センターには、初回お試し300円のダイエットサプリが、2回目に4カ月分送られ、4万円も請求された事案がある。

「悪質業者は確信犯的に解約方法を小さすぎる表示にしたり、解約を申し出るメールをしても返答しません。良心的な企業は、ホームページなどに定期購入であることが明記されているし、解約方法もわかりやすく説明しています」

【手口3】コロナ陽性オレオレ詐欺

昨年6月、山梨県で70代女性が、息子を名乗る男から数回「PCR検査した病院で小切手をなくした」と連絡があり、1,500万円をだまし取られた事件があった。

「こうしたコロナ版オレオレ事件も後を絶ちません。いったん電話を切り、落ち着いて家族に確認電話をすること。《この電話は詐欺対策のため録音しています》と着信時にアナウンスしてくれる詐欺対策電話の利用もおすすめです」

少しでも不安だと感じたときは、消費者ホットライン(局番なしの188)に電話相談しよう。

「女性自身」2021年3月16日号 掲載