◆コロナ禍で加速!? ベトナム人犯罪増加の真相

 昨夏よりベトナム人による家畜や農作物の盗難事件が大々的に報じられている。それらの多くはコロナ禍に関連づけられ、世間では「困窮に喘ぐベトナム人の凶悪化」を懸念する声もある。

 だが長年、在日外国人問題を取材するジャーナリストの出井康博氏は「コロナで確かに拍車は掛かったが、ベトナム人犯罪増加の要因はそれだけではない」と断じる。

「そもそも警察庁によれば、’17年からすでに外国人検挙件数の国別割合ではベトナム人が1位。背景のひとつには安倍政権下で急速に進んだ技能実習生の受け入れがあり、今や日本のベトナム人は約41万人と、中国と韓国に次ぐ多さ。急激な人数増加に伴い、検挙者件数も増えているのです」

 では、そもそもなぜ彼らは犯罪に走るのだろうか。

「技能実習生たちは現地の送り出し業者に支払う手数料で100万円前後の借金を抱えて来日する。そして日本人が嫌がる重労働を最低賃金で強いられるわけです。彼らの多くは業者から“日本にくれば稼げる”と吹き込まれており、そのギャップから絶望して逃げ出したり、簡単に稼げる軽犯罪に手を染めたりしてしまう」

SNSの普及が犯罪増加の温床に

 また、近年のベトナム人犯罪増加の温床としてSNSの普及があると出井氏は分析する。

「異国の地で言葉もままならないベトナム人は、フェイスブックなどのSNSを頻繁に利用する。ベトナム語でやりとりできるSNSコミュニティでは盗難品と思われる物品の売買も行われており、窃盗などの軽犯罪や賭博への誘いで溢れてもいる」

 近ごろは賭博トラブルで、相手の指を切り落とす事件も発生している。

「こうした凶悪犯罪を防ぐためにも、実習生が借金を背負わず来日できる制度にする必要がある。加えて言えば、賃金を上げること。給料が安いから犯罪に走ったり、稼げる不法就労に逃げたりする者が現れるんです」

【出井康博氏】
ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。著書に、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川書店)など

<取材・文/週刊SPA!編集部> ―[[緊急ルポ]在留外国人の極貧生活]―