なぜ合計金額以外に「オプション」が強制されるのか?

 クルマを購入する場合、新車であればメーカー系販売店で購入するのが一般的です。
 
 一方で、中古車となるとメーカー系、中古車販売店、ネットオークション、個人売買など多数の方法が存在しますが、中古車を購入する場合にはどのような部分に気を付けるべきなのでしょうか。

なぜ合計価格と異なる金額となる? 価格の仕組みとは(画像はイメージ)

 一般的に中古車を検討する場合、大手中古車サイトや雑誌を見て自分の条件にあったクルマを選ぶことがほとんどです。

【画像】中古車は購入前にココを確認! 意外と気づかない部分はドコ?(11枚)

 サイトや雑誌によって異なるものの、基本的には「メーカー/車種」である程度希望のクルマが定まっている状況で、「価格帯」「年式」「走行距離」「ボディカラー」などの諸条件を絞って探していきます。

 なかでも、中古車を購入するメリットとして挙げられるのが、新車よりも安価に希望のクルマが手に入る可能性があることです。

 そのため、ある程度の予算を決めて探していくと、サイトや雑誌には「本体価格」と「支払い総額/合計価格」といった表記が存在。(販売店によっては本体価格が表記されない場合もあり)

 本体価格とはその名のとおりクルマ本体の金額となり、支払い総額/合計価格は、本体価格に中古車を購入する際に必要な諸経費が含まれた金額です。

 諸経費のなかには、自動車税や自賠責保険、リサイクル料金などの購入時に必要なものが含まれ、店舗によっては本体価格に「法定整備」を含んでいます。

 ここまでは、販売店で中古車を購入する際に当てはまる部分ですが、オプション部分も費用も設定されていることがあります。

 代表的なものでは、大手中古車サイト独自または店舗独自の保証や納車費用などが挙げられます。

 こうした、本体価格+諸経費+オプションの詳細は、見積もり時に明確になり、大手中古車サイトではネット上で見積もり依頼が出来ることから、実店舗に行かずとも気になったクルマの金額が分かるのです。

 しかし、実際に購入しようとする段階になるとその見積もり金額では「売れない!」という販売店も存在するといいますが、なぜ見積もり金額と異なる話になるのでしょうか。

 首都圏で中古車販売店を営むA氏は次のように説明します。

「中古車販売店といっても、ある程度の規模で展開しているところや、個人でやっているところなどさまざまです。

 どちらが良いというのは一概になく、その会社によって良し悪しがあります。

 代表的なトラブルとして、例えば見積もり上の支払い総額が『300万円』だったとしましょう。

 そうすると、基本的にはこの300万円以外の金額は発生しないはずですが、いざ購入の話が進むと『保証』『コーティング』など見積もりに入っていない、不要なオプションを勧められ、人によっては『ウチは保証に入って頂かないと売れない』という発言もあるようです。

 これらのオプションは販売店の直接的な利益に繋がるために、サイトや雑誌などの見た目価格でお客さまを来店させ、店頭でオプションを半ば強制するというやり方が横行しているといえます。

 しかし、保証やコーティングなどはあくまでもオプションになるため、必要なければ拒否することはもちろん可能です。

 こうしたトラブルに遭わないために、そのクルマの相場価格よりも極端に安い状態でサイトや雑誌に掲載されているクルマを避けるというのがひとつです。

 もちろん、企業努力で相場よりも安くしている可能性もありますが、ほとんどの場合にそこは利益に繋がる部分ですので、見た目上安すぎるものには裏があるかもしれないと思っていたほうが後々のトラブルを避けられると思います」

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 また、国産系正規ディーラーの整備スタッフは次のように話しています。

「他社の中古車販売店で購入されたクルマを整備することはありますが、ちゃんと整備されていないことがあります。

 とくに、お客さまが確認できないオイルなどの量やブレーキパッドの残量などが挙げられます。

 また、先日には電子パーキング搭載車にも関わらず、中古車納車時の整備簿には『サイドブレーキ伸びしろ良し』と記載されていました。

 手動式のサイドブレーキでは無いにも関わらず、その記載には思わず目を疑いました。

 中古車すべてが整備されていないとはいえませんが、気になる人は納車後に正規ディーラーなどで見てもらうのもいいかもしれません」

実際にあった中古車販売店での悪質対応とは?

 では、実際に中古車を購入した際に遭遇するかもしれないトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。

 実際に中古車購入時にトラブルに遭ったT氏は次のように話しています。

「探していたのは、新車価格で500万円以上する国産高級クロスオーバーSUVでした。

 条件としては、『総予算300万円』『走行距離5万キロ以下』『ハイブリッド車』といったものでしたが、中古車市場でも人気があるため、初期型とされる発売から6年以上経過しているものでも本体価格は300万円以上でした。

 しかし、大手中古車サイトにて希望のクルマを探していると『本体価格約270万円』という個体が出てきたため、オンライン上で見積もりを取ると総合計が約290万円だったので、店舗に電話し、来店予約をおこないました」

 ここまでは、従来の中古車を検討する流れですが、実際に来店から納車までの流れが酷い対応だったといいます。

「来店時に『SUVの見学予約したTです』と伝えると、出てきたスタッフは『何をお探しですか?』とまったく予約内容が伝わっていなかったほか、実車確認時に説明を求めても『このままの状態で説明することはありません』という対応でした。

 その後、すでに見積もりを持っていることと保証などは一切要らない話をして、再度出された見積もりには『支払い合計:約370万円』という記載があったのです。

 その内容には、約30万円の販売店独自保証や約20万円のコーティングといったものが記載されており、それらを外した見積り依頼をすると『上司に確認します』と20分ほど待たされました。

 その後も必要ない任意保険加入の勧めたり、下取りに出すクルマの任意保険の保険証券のコピーを求めるなど不必要に個人情報を取ろうとする行為や、終いには『他店よりも安い自信があるのでもう一度検討しては如何でしょうか』という発言も飛び出しました。

 当方がクルマにある程度の知識があったため、当初の約290万円の支払いで落ち着きましたが、ほかのお客さんはいわれたとおりのオプションを付けていたこともあり、ぜひとも必要なオプションかを判断したほうが良いかと思います。

 ちなみ、納車日に地図SDが無いことが判明したほか、納車時の洗車もなく、今どきこんな酷い店もあるのだと驚かせられました」

中古車といえども基本的には、洗車して仕上げた状態で納車されるはずだが…

 前述の中古車販売店A氏は、このような悪質な対応について、次のように話します。

「中古車販売店に対して、あまり良いイメージがない人も多いと聞きます。中古車とはいえ、高額な商品を買っていただくことには代わりはありません。

 そのため、気持ちよく納車したいという想いで作業している中古車販売店があることも知ってほしいですね」

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 希望のクルマが見つかる可能性がある中古車市場ですが、そのクルマ自体に罪はなくても中古車販売店の対応次第で、大きく印象は変わります。

 大切なのは、『何が自分に必要なのか』という部分です。中古車といえども安価に程度の良いクルマが見つかるかは、自分次第といえます。