2月のCM好感度ランキング、人気アニメとの“意外な”コラボレーションを展開したCMの躍進が目立ちました(©Mitsuru Adachi/Shogakukan)

2月前期のCM好感度ランキングを見ると、人気アニメとの“意外な”コラボレーションを展開したCMの躍進が目立った。CM好感度の首位に立ったのは日本マクドナルド『チキンタツタ&チキンタツタ瀬戸内レモンタルタル』の新CM。『チキンタツタ』発売30周年を記念して、1980年代に放送された人気アニメ『タッチ』とのコラボレーションCMを1月26日から放送した。

本作は「迷うって、青春だ。」をコピーに、ヒロインの浅倉南が定番のチキンタツタと新商品『チキンタツタ瀬戸内レモンタルタル』のうちどちらを選ぶのか迷う様子を描くというもの。BGMにはアニメ主題歌『タッチ』の替え歌『タツタ』を使用した。原曲の歌手である岩崎良美本人が当時と変わらない伸びやかな歌声を披露している。

CMは白い雲の浮かぶ青空をバックに、彼女の幼なじみの双子・上杉達也、和也それぞれに続けて2種類のバーガーが大きく映され、そこに「♪タツタ タツタ チキンタツタ どちらかだ〜」といった歌声が重なる。最後はキャラクターがプリントされたパッケージとともに2つの商品を映し、「♪チキンタツタッタ〜」といったサウンドロゴなどで締めくくった。

つい口ずさむ楽曲に高評価

40代を中心に幅広い世代から支持を集め、チキンタツタのCMとしては観測史上最高のCM好感度を記録した。モニターからは「昔よく見ていたアニメなので、パッと画面に映った時に注視してしまった」「音楽が懐かしく、つい口ずさんでしまった」など、『タッチ』を懐かしむ声や楽曲を評価するコメントが目立った。

日本マクドナルド/チキンタツタ 迷うって、青春だ篇 30秒(©Mitsuru Adachi/Shogakukan)

このほか「青春と爽やかさを感じる。食べてみたくなるCM」「毎年チキンタツタを楽しみにしているので気になる」「CMを見てすぐ買いに行きました」といった商品に関する声も相次いだ。またCMに好感を示した人のうち97%が商品を「ためしてみたい」または「いま愛用している」と回答しており、人気アニメをモチーフにした表現だけでなく、商品そのものへの興味喚起にも成功したようだ。

同じく人気アニメとコラボしたヒット事例として、ポノスのスマホ用ゲームアプリ『にゃんこ大戦争』のCMを紹介したい。今年公開予定の映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』とのコラボ企画の一環として制作されたCMで、自己最高位となる6位にランクインした。

ポノス/『新世紀エヴァンゲリオン』OP映像 にゃんこ大戦争ver

CMソングにはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニング曲『残酷な天使のテーゼ』の替え歌を使用。原曲を歌った高橋洋子が歌詞を“にゃ”だけで歌う『にゃん酷なにゃんこのテーゼ』をBGMに、ゲームのキャラクターである“にゃんこ”たちがアニメのオープニング映像を再現するという内容だ。

“碇シンジ”をモチーフとした“ネコシンジ”が登場するなどゆるい雰囲気で展開する一方、「新元号にゃんこゲリオン」といった文字の書体や背景、建物などのディテールまで高いクオリティーで再現されている。ナレーションはアニメで“葛城ミサト”の声を務める三石琴乃が担当した。

15秒CMのほか、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 TV版』を放送した1月22日の日本テレビ『金曜ロードSHOW!』では90秒のフルバージョンCMを初公開した。また翌1月23日午前0時から『にゃん酷なにゃんこのテーゼ』のフル楽曲を音楽配信サイトで配信するなど、さまざまな媒体を通してユーモラスなコラボを展開している。

アニメファン絶賛の仕上がり

CMの支持層を見ると、男子小中高生や20代の男性を中心に好評価を獲得した。「オープニングの再現率が素晴らしい」「歌も声優も本物をキャスティングしている点がいい」などコラボの完成度を絶賛する声が目立った。

また「一度聞いたら耳から離れない」「かわいくておもしろくて耳に残るし、ついマネして歌ってしまいます」「一つひとつのCMのカットが全部ねこでかわいい」など、楽曲や映像に関するコメントも多かった。

CMを好きな理由を15項目から選択するCM好感要因では「音楽・サウンド」をはじめ「キャラクター」「ユーモラス」などのスコアが高かった。また「周囲の評判もよい」の項目では全2970作品中の首位に立った。

「本気でやっているコラボパロディーCMだと思いました」といったモニターの感想が示すように、本作に込められた原作への敬意や制作陣の熱量が今回のヒットの理由ではないだろうか。

このほか紹介したいのは、21位に入ったオープンハウスのCMだ。1月8日にスタートした新シリーズの第1弾で、松田翔太、戸田恵梨香、東京03の角田晃広をCMキャラクターに起用している。

オープンハウスTVCM 「座敷童子 登場」篇(30秒)

松田が演じるのは「都心に戸建てを持ちたい」と夢見る人の前に現れる幸運のキャラクター“座敷童子”。戸田と角田は夫婦役で、それぞれ戸建ての家が欲しくてたまらない妻、戸建ての購入は現実的ではないと感じている夫に扮して登場した。

CMはソファに座った戸田が、台所で食器を拭いている角田に「戸建てが欲しい!」とねだるも諦めたように却下されるシーンに始まる。すると座敷童子が突然現れ、彼の姿が見えない角田に抱きつきながら「一緒にかなえない? 戸建て」などと戸田に声をかける。「俺も広いとこ住みたいしさぁ」などとぼやく彼に戸田は困惑するも、最後は「お願いします!」と意気込む内容で、「夢じゃない?」というコピーやブランドロゴで締めくくった。

CMヒットが続くオープンハウスが新展開

戸田と座敷童子が共通の夢に向けて一風変わった共犯関係を結ぶストーリーで、60歳以上の女性や20代の男性から多く得票した。「松田さんのクールな座敷童子が面白い」「座敷童子の顔面が強すぎて笑う」「イケメン座敷童子が夫に取りついて妻を誘うところがユーモラス」など、松田が演じるキャラクターを評価する声が相次いだほか、3人のユーモラスな掛け合いについての感想が多かった。

また「この会社は“戸建て”にすごくこだわっていると思う」といった「戸建て」に関するコメントも見受けられた。このほか就寝中の角田の耳元で座敷童子と戸田が「♪戸建てが欲しくなる」などと歌うシリーズ第2弾となるCMも好評で32位につけている。

これまでオープンハウスは「東京に、家を持とう。」をコピーに織田裕二が犬の“ジョン”を演じるCMや、長瀬智也と清野菜名が戸建てを夢見る小学生に扮するCMなど、さまざまなヒットシリーズを展開してきた。好スタートを切った「座敷童子」シリーズが今後どのような展開で私たち視聴者を楽しませてくれるのか。これからも引き続き注目していきたい。