豪華特典が満載、年会費1万8000円のコースもすぐに定員到達

 楽天が、公式ファンクラブ「TEAM EAGLES」の新コースとして設立した田中将大投手の「マー君クラブ」。25日の午前10時18分に会員募集を開始し、年会費180万円で10人限定の「VIP」コースがわずか14分で完売するなど話題を呼んだ。年会費1万8000円のコースも。サーバーダウンを回避するために少しずつ受け付けていたが、それでも開始から30分足らずで500人を突破。午後2時26分に定員の1000人に達した。

 球団として個人のファンクラブを設立するのは、星野仙一元監督の「1001クラブ(2011年〜2014年)」以来2度目で、選手個人のファンクラブとしては初。目玉の「マー君クラブVIP」は、田中将の直筆サイン入りプロモデルユニホームやプロモデルキャップなどのグッズが特典に含まれる。さらに一般では販売されていない特等席で最大5人まで試合観戦ができる50万円相当の「1-day Premium VIP Ticket」の招待券など豪華な特典内容になっている。

 通常の「マー君クラブ」は、販売中のグッズとバージョン違いの「MyHEROタオル」や田中将が登板するホームゲーム勝利時に行うオンラインイベント「マー君とオンラインわしほー集会」の参加権利などの特典が用意されている。両コースとも、田中将自身のブランド「MTXIX(エムティーナインティーン)」のロゴを背番号18バージョンにリメークした「エムティーエイティーン」のマー君クラブ限定コラボグッズが特典に含まれる。

 好評を受け、球団担当者は「VIPの180万円は正直勇気がいる値付けでした。田中選手はそれだけのバリューに値すると球団が信じて商品設計をし発表したものの、『高い』という反応が多かったのも事実なので、多少の不安もありました。しかしながら、まさかのスピード完売で、びっくりしています」とコメント。さらに担当者に話を聞く。

――とびきり高価格帯のファンクラブを作るのは勇気がいることだったと思います。それでも販売に踏み切った理由やきっかけは?

「田中選手が入団すると発表されたとき、年間シートの契約数やグッズの販売が急激に伸びました。さらに『TEAM EAGLES』の新規入会も増えました。予想をはるかに上回るお客様の反応を見たときに、本当にスーパースターが帰ってきたんだな、田中選手がファンにとって特別な存在なんだなと実感しました。

 そこで、なんとかこの喜びを、さらに身近に感じてもらえるサービスをファンの方々に届けられれないかと考えて思いついたのが『マー君クラブ』です。ファンクラブでは過去に田中選手プロデュースの特典グッズを作ったこともありましたが、今回はそのときよりもプレミアムな、スーパースターに似合うファンクラブを作れないかと思い考えた結果、高価格帯のコースになった、というイメージです」

数量限定や高価格が目立つのは“コロナ禍だから”…苦肉の策の球団

――「TEAM EAGLES」の「5STAR」や「1-day Premium VIP Ticket」など、こうしたVIP・プレミア化に近年球団として力を入れているようですが、その高い需要や成功を感じているからでしょうか。

「今、数量限定や高価格のサービスが目立つのは、“コロナ禍だから”という理由が一番です。

 スタジアムに平常時と同様に何万人もお客様をお迎えできて、そこでサービスが提供できるのであればもっとサービスは安価に設定できるのですが『リモート・オンラインサービスがメイン』や『こだわりのグッズを特典』にするとどうしても高価格になってしまう。その点は球団としても心苦しいところはあります。

 ただ、球団が今のコロナ禍でも健全な運営をするために頑張っていかないといけない。価格が高くなってしまっても、そこにお客様のニーズがあればチャレンジしない理由はないという思いで、今できるサービスを試行錯誤して考えています。

 ありがたいことに、現状はその高価格のサービスであっても、ファンの皆さまに良い形で応えていただけています。その分、もちろん球団としては、価格にあったサービスをしっかり提供していきたいという思いです。

 そして『高い価格のサービスだけをしていく方針』ということでは決してなくて、多くのファンの方々にお楽しみいただけるような安価なサービスも展開できるように、考えています」

 楽天イーグルスは「TEAM EAGLES」の名の下に斬新な取り組みを見せ、プロ野球界に新たな応援スタイルを確立させようとしている。そのなかで、さらに大きなプロジェクトが動き始めた。メジャーから帰ってきた背番号「18」の輝きをより近くで見届けることができる「マー君クラブ」は、売り切れてしまった今となっては“幻”で“ファン垂涎”だろう。勝ち取ったクラブ会員はその喜びを噛み締めてほしい。(「パ・リーグインサイト」岡絃哉)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)