ロシアの廃工場周辺で、体毛が鮮やかなブルーやグリーンに染まっている野良犬が数頭発見された。ロシアでは別の工業地帯でも同様のケースが見つかっていたことから、化学廃棄物などの影響によるものではと懸念されている。犬達は獣医が保護して検診しており、今のところ健康状態に異常は見られないという。『LADbible』『BBC News』などが伝えた。

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全身が鮮やかなブルーに染まった犬が発見されたのは、モスクワの東約400Kmの場所にあるジェルジンスクという工場地帯の町だ。11日に現地メディアが報道後、犬の写真がSNSで一気に拡散された。

かつてこの場所には、染料“プルシアン・ブルー”の原料となる猛毒のシアン化水素酸や、プレキシガラスを製造する大規模な化学薬品の生産施設があった。施設は財政困難のため6年前に閉鎖され、現在は廃墟となっている。そのため野良犬に付着した鮮やかなブルーは、硫酸銅のような化学廃棄物によるものではないかと懸念されている。

破産管理人は「野良犬はテリトリー周辺をうろついています。彼らは古い化学物質の残骸を見つけて、その上で転がっていた可能性があります。それが硫酸銅だったのかもしれませんね」と話しており、このように続けた。

「数年前にも野良犬が人工的染料を見つけたため、似たようなことが起こりました。誰にもコントロールできないのです。私には野良犬を保護したり避妊手術をする費用もないのです。」

『BBC News』によると、野良犬達は13日にニジニ・ノヴゴロドにある獣医クリニックに運ばれて血液と糞便のサンプルを採取したとのことで、犬の毛からはプルシアン・ブルーの染料の痕跡が見つかったそうだ。ロシアの現地メディアは犬達が健康で食欲もあり、元気に過ごしていると伝えている。犬達は20日間クリニックに滞在し、健康状態を監視されるという。

現地時間18日には、モスクワの南約37Kmの場所にある工業地帯のポドリスク周辺で、体毛がグリーンに染まった野良犬が発見された。モスクワの地方大臣によると、野良犬はグリーンの粉状塗料入りの袋が大量に保管されている廃工場近くで見つかったとのことだ。

ポドリスクの野良犬も獣医が検診しているが、グリーンに染まった決定的な原因については明らかになっていない。犬達の健康状態は良好だという。

ジェルジンスクの別の地域には冷戦後に30万トンもの有毒廃棄物が投棄されていることから、この場所にある化学廃棄物を調査して欲しいといった声もあがっている。

画像は『LADbible 2021年2月11日付「Stray Dogs To Be Checked After Fears They Turned Blue Due To Pollution」(Credit: East2West News)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)