軽自動車ユーザーに人気! 特別仕様の白ナンバーとは?

 最近、白いナンバープレートを装着した軽自動車をよく見かけるようになりました。

 軽自動車のナンバープレートは本来「黄色」ですが、特別仕様ナンバープレートが登場したことにより、白いナンバープレートを選択するケースが増えているようです。

最近よく見る白ナンバーの軽自動車(写真はイメージ)

【画像】白ナンバーの次はコレ! カッコいい地方版図柄ナンバー!(35枚)

 この白いナンバープレートは、2019年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を記念し、期間限定で交付されているものです。

 大会支援として1000円以上の寄付をすると「グラフィックデザイン入り」のナンバーが選べますが、寄付金なしでも装着できる「大会のロゴ入りのみ」が普通車登録の一般的な「白ナンバー」と同じように見えるとあって、軽自動車ユーザーに大人気となっています。

 国土交通省によると、2020年7月末時点の東京オリンピック・パラリンピック記念ナンバーの累計申し込み数は、193万4677台。登録車と軽自動車の内訳は、登録車が17万8628台、軽自動車が175万6049台となります。

 また、寄付あり(グラフィックデザイン入り)と寄付なし(グラフィックデザイン無し)の内訳は、寄付ありが23万8945台、寄付なしが169万5732台です。

 軽自動車で寄付なしが圧倒的に人気であることがわかりますが、軽自動車を取り扱うメーカーのディーラーセールスマンに現状について聞いてみました。

「こちらでも驚くほど人気になっています。またすでに軽自動車を乗られているお客さまからも、特別仕様の白ナンバーへの変更のお問い合わせが多く寄せられています」

 今回話を聞いたセールスマンが担当するユーザーでは、軽自動車を新車で購入する人の約7割程度が白ナンバーを希望しているそうです。そしてそれをセールスポイントとして展開しているディーラーもあるといいます。

「東京などの都市部とは違い、地方で軽自動車は日常の重要な移動手段として普及しています。また最近ではベテランドライバーが、クルマのダウンサイジングとして軽自動車に乗り換えるケースも増えており、そういった人も白ナンバーを選ぶ傾向があります」

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 コロナ禍の影響で東京オリンピックが延期になったことを受け、この特別仕様ナンバーの交付期間も2021年9月30日まで延期されました。

 このナンバーは、売買による所有者変更や廃車など変更する事由が発生しない限り使用可能なのも大きな魅力のひとつになっているようです。

 ちなみに、地域ごとによって違いますが、東京都23区で比較してみると、軽の通常の黄色いナンバープレートの交付料は1480円。一方で特別仕様(白)ナンバーの交付料は7300円と約6000円の差がありますが、それでも白ナンバーを希望する人が多いようです。

白ナンバーを選択した軽自動車オーナーの本音とは?

 登録費用で約6000円多く支払う必要がある特別仕様ナンバーですが、それでも黄色いナンバーから白ナンバーに変更する人が多いのはなぜなのでしょうか。

 前出のディーラーセールスマンは、「軽自動車は格下に見られてしまうことがあるようで、黄色いナンバーを普通車と同じ白ナンバーにしたい人が多かったということでしょう」とコメントしています。

軽の黄色いナンバーは煽られやすいというウワサも…

 税制面で優遇されている軽自動車ですが、その分サイズや排気量で制限を受けており、一般道では普通車と比較して非力なのは否めません。

 パワー不足から加速が鈍く流れに乗るまでに時間がかかったり、目の前に割り込まれたりすることも多いと聞きます。

「黄色いナンバーをつけていることで、一般道で嫌な思いをされたオーナーが多いことも影響しているようです。

 決して軽自動車を蔑ろにしているわけではありませんが、サイズが小さく発進などが遅れがちな軽自動車は、周囲のドライバーだけでなく運転している人も格下に感じてしまうのかもしれません。

 最近の軽自動車を驚くほど質感も向上し、乗り心地も良くなっているのですが、やはりエンジンの余裕というでは少し厳しいところもあるのでしょう」(ディーラーセールスマン)

 実際に軽自動車(スズキ「ワゴンR」)を白ナンバーにしているオーナーに、なぜ特別仕様ナンバーにしたのかを聞いてみました。

「長いことアウディ『TT』(初代)に乗っていたのですが、さすがに各部の経年劣化が進み修理する箇所も増えたので、いっそのこと気楽な軽自動車に乗り換えてみようと思ったのがきっかけです。

 特別仕様ナンバーがあることは知っていましたが、購入時にセールスマンに勧められてまだ間に合うならとお願いしました」

 現在の軽自動車はとくにハイトワゴン系が人気となっており、各社が熾烈なライバル合戦をしている状況。特別仕様の白ナンバーもセールストークのひとつになっているようです。

「ずっと普通乗用車に乗ってきたので、軽自動車への乗り換えに多少の不安はありました。また友人から合流で入れてもらえないとか、右折で後ろからあおられるといったネガティブな話を聞いていました。しかし、いまのところはそういった経験をしないで済んでいるのも、白ナンバーのおかげかもしれません」

 軽自動車に乗り換えての不満は、やはり高速巡航性能が普通車より劣ることだといいますが、それ以外は維持費、燃費、乗り心地などにも不満はないそうです。

「都内に住んでいることもあると思いますが、不満はほとんどないです。むしろ以前より取り回しもしやすく駐車場もスペースができたので、自転車も置けるようになりました。いまのワゴンRのほうが荷物を積めるので、買い物も楽になりました」

 白ナンバーの軽自動車に乗ることのメリットなどはあるのでしょうか。

「何度か街中で二度見されたことはあります。ワンポイントロゴは目立たないですから。一般道でも非力なのは否定できませんが、普通車の流れに遅れないように注意して運転しています」

 逆に、唯一軽自動車をアピールしたのは、ETCに対応していない有料道路の料金所だといいます。

「料金を支払うとき、軽自動車であることを申告しました。料金所の方も分かっているようで、スムーズに軽料金の支払いで済みました。

 ただ、黄色いナンバーで見慣れたクルマではあるので、しっくりきているかは分からないです。車種によっては黄色いナンバーのほうが似合うクルマもあるかもしれません。

 軽自動車は非常に便利で乗りやすいのですが、やはり普通車に対しての気後れは若干あります。それが白ナンバーになることでだいぶ軽減された気がします。これが白ナンバーを選んだ1番の理由なのは間違いないですね」

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 都市部のように交通インフラが整っている地域はともかく、自動車での移動がメインの地域に住む人にとって、クルマは「1人1台」感覚。パーソナルな移動手段としてたくさんの軽自動車が活躍しています。

 軽自動車のオーナーが感じている「普通車への劣等感」が軽減されるのであれば、期間限定でなくいっそのことレギュラー化することで、より環境への負荷が少ない軽自動車への乗り換えが促進されるかもしれません。