ランキング上位10車種のうちトヨタ車は平均7.08台

 日本自動車販売協会連合会が発表する近年の登録車販売台数ランキングでは、トヨタ車の好調ぶりが目立ちますが、なかでも特異な存在といえるのが「アルファード」と「ハリアー」です。

 ランキング上位のほかのトヨタ車と比べて、どのような点が特徴的なのでしょうか。また、好調な要因とはいったい何でしょうか。

国産高級ミニバンのトヨタ「アルファード」

【写真】 超豪華すぎる! 1500万円の「アルファード」のインテリア(38枚)

 日本自動車販売協会連合会が発表する2020年1月から12月までの登録車販売台数ランキングを見ると、上位10位にランクインしたトヨタ車の各月平均車種数は約7.08車種。

 平均車種数がトヨタに次いで多いのはホンダの約1.75車種で、3位が日産の1.17車種となります。

 国内主要自動車メーカー8社のなかでトヨタの車種数が多いことを考慮したとしても、他メーカーを圧倒しているといえるでしょう。

 そんななか、ランキング上位のトヨタ車のなかで特異な存在といえるのが「アルファード」と「ハリアー」です。

 ほかのランキング上位のトヨタ車とは異なり、かなり高級なモデルであるにも関わらず、安価なトヨタ車以上に売れている点が特徴となります。

 アルファードは3代目となる現行モデルが2015年1月に登場。エントリーグレードでも350万円を超え、最上級グレードは700万円台後半に達する高級ミニバンとして知られています。

 現在発売から7年目に突入しましたが、2020年中に人気は衰えずむしろ加速しており、2020年4月以降はランキングトップ10の常連となっています。

 一方、都会派高級SUVのハリアーは、4代目となる現行モデルが2020年6月に登場。

 エントリーグレードの車両価格は300万円をわずかに切る設定で、トヨタのSUVのエントリーグレード同士の価格で比較すると、「RAV4」以上「ランドクルーザープラド」以下というポジションに位置づけられます。

 ハリアーも、現行モデルの発売翌月となる7月以降はトップ10の常連となり、直近の2020年12月のランキングを見ると、5位のアルファード(販売台数7962台)を僅差で上回って4位(販売台数8128台)という結果となっています。

知名度が高くないとダメ? 人気の要因は

 高級ミニバンのアルファードと高級SUVのハリアーは、なぜここまで売れ行き好調となっているのでしょうか。

 要因のひとつとして、2020年5月に実施されたトヨタの全店全車種併売化が挙げられます。

 トヨタは2019年4月に東京の販売会社を併合し、東京地区では先行して4つの販売系列を廃止。そして、2020年5月に全店全車種併売化を全国へ拡大しました。

 全店全車種併売化と前後して、アルファードの兄弟車である「ヴェルファイア」の販売台数が陰りを見せ始め、2020年下半期にアルファードの売れ行きが好調だったことも重なり両車の販売格差は10分の1規模まで広がりました。

国産高級SUVのトヨタ「ハリアー」

 アルファードとヴェルファイアの直近の販売動向について、トヨタの販売店スタッフはモデルライフが長いアルファードの方へ有利に働いているといいます。

「トヨタ系の販売店で全店全車種併売が始まり、これによりアルファードとヴェルファイアはどの店舗でも同様に買えることとなりました。その結果、知名度があるアルファードに人気が集中したことで、両車に差が生まれました。

 現在では、アルファードを検討されるお客さまは多く来店されますが、ヴェルファイア目当ての人は少なくなった印象です」

 ハリアーも、2020年6月にフルモデルチェンジして以降、好調な売れ行きをみせ続けています。

 トヨタのなかで車格の近いRAV4は4代目が日本に導入されず、約3年ぶりに国内で復活。2019年4月登場した5代目モデルが再び人気を取り戻しましたが、ハリアーは1997年の初代登場から販売休止期間を挟むことなく販売され続けています。

 都会派高級SUVのパイオニアとして20年以上の歴史を積み重ねてきたことで知名度が高まり、全店全車種併売化が知名度の高い車種への追い風になっていると推察できるでしょう。

 また、人気車種であるがゆえ高いリセールバリューが期待できる点も追い風になっているといわれており、前出とは別のトヨタの販売店スタッフは「アルファードはリセールバリューの高さも人気の理由のひとつで、新型となったハリアーもいま売れ行きが大変好調であることから、自ずとリセールバリューも良くなると思います」と話します。

 知名度の高さが人気を呼び、その結果さらに知名度が高まっていくという好循環を形成しているのがこの2車種といえるでしょう。