プロ野球の春季キャンプが2021年2月1日にスタートする。新型コロナウイルスの影響で外国人選手の来日問題などがあるなかで開幕へ向けて各球団が一歩を踏み出す。昨年のセ・リーグは巨人が投打にわたって強さを見せてリーグ連覇を果たした。今シーズンも原辰徳監督(62)指揮のもと巨人が他チームを圧倒するのか。それとも巨人の連覇を阻止するチームは現れるのか。

J-CASTニュース編集部は、巨人、ヤクルトなどでコーチを務めた橋上秀樹氏(55)に今シーズンのセ・リーグを占ってもらった。

「巨人が盤石に近いと思います」

巨人は今オフ、フリーエージェント(FA)でDeNAから梶谷隆幸外野手(32)と井納翔一投手(34)を獲得。外国人の補強も抜かりなく、メジャー196本塁打のジャスティン・スモーク内野手(34)とエリック・テームズ外野手(34)を獲得した。メジャーを目指していたエース菅野智之投手(31)のチーム残留が決定したことで、昨シーズンを上回る戦力が予想される。

「今年に関しては外国人選手の来日の問題を含めてどの球団も不透明な部分が多いですが、昨年の戦い方をみると、他球団に比べて巨人は外国人選手への依存が少なかった。そのなかでリーグ優勝している。オフの補強で戦力的にもプラス材料があり、マイナス要素がほとんどみられない。菅野投手の残留も大きい。菅野投手が抜けたら他球団との差がかなり縮まると思っていましたが、総合的にみるとセ・リーグは巨人が盤石に近いと思います」(橋上氏)

橋上氏は今シーズンのセ・リーグは巨人の「1強」となる可能性を指摘した上で、巨人の対抗馬になりうるチームとして阪神と中日を挙げた。

「比較的スムーズに戦力を整えてシーズンに...」

「阪神は投手陣がある程度盤石で、攻撃陣がここ数年の課題になっていた。そこを埋めるために新外国人を補強したが来日に関しては不透明である。報道によると昨シーズンまで所属していた外国人選手の何人かは来日しているとあったので、そうなると昨年に近い戦い方ができる。外国人選手にある程度依存しているチームとしては比較的スムーズに戦力を整えてシーズンに臨めそうなのが阪神。そういったことを含めて阪神が対抗馬の一番手になりうると思います」(橋上氏)

阪神は昨シーズン、リーグワーストの85失策を記録。チーム防御率はリーグ優勝した巨人に次ぐ数字をマークしたものの、失策数はリーグ最少の巨人の43失策の倍近い数字を残し、守備力強化が大きな課題となる。

「守備力は大幅に選手を入れ替えない限りワンシーズンで急激に上がることはないでしょう。昨年からの反省を踏まえて強化すべき点であることは分かっていること。地道にやっていくことによって少しずつ向上していくと思う。多少なりとも向上すると思いますし、昨年ほど守備が乱れるということはないと思います。あれだけ失策が多くても昨年はAクラスに入ったのだから少しでも守備力が向上すればその分、上積みが期待される」(橋上氏)

「戦い方を昔の強かったころの中日に戻した」

橋上氏が阪神に次ぐ対抗馬とするのが中日だ。中日は昨シーズン、8年ぶりのAクラス入りを果たしリーグ3位でシーズンを終えた。シーズン序盤は苦しい戦いが続いたが、終盤に入って投手陣の踏ん張りもありチームは上昇。今シーズンはさらなる飛躍が期待される。

「中日は昨シーズン後半、戦い方を昔の強かったころの中日に戻した。しっかり守って勝つ野球。落合監督の時のような戦い方だった。与田監督はどこかで踏ん切りをつけたのだと思います。これ以上、攻撃的にいってもプラスにならないのなら、投手力を全面に押し出して1点を取る野球でなく、1点をやらない野球にシフトした。勝ちパターンの投手も安定していました。今年は首脳陣が代わっていないので大きな方針の転換はないでしょう。昨年の後半の戦いにある程度の手ごたえをつかんだと思いますので、同じような戦い方を目指していくと考えられます」(橋上氏)