「1%の可能性を信じてやってきたが、今日0%になり、ただただ悔しいし情けない」
 2020年12月7日におこなわれたNPB12球団合同トライアウトに挑戦した新庄剛志(48)。タイムリーを放つなど存在感をアピールしたがオファーはなく、1月13日に自身のインスタグラムで、NPB復帰がかなわぬ夢に終わったことを綴った。

 そのさなかの12月23日、独立リーグの「新潟アルビレックスB.C」が、新庄獲得にラブコールを送っていることが判明。SNSなどを見る限り、新庄自身はすでに次なる夢へのチャレンジへと向かっているように思えるが、同球団は「新庄選手から、いまだ断わりの返事は来てない。うちに来てくれることを信じている」と当時の本誌の取材に回答した。

 そこで今回、ヤクルト、日本ハム、阪神などで活躍し、2021年から同チームにて2度めの指揮を取る橋上秀樹監督(55)に、新庄にオファーを出した意図を聞いた。

――新庄さんにオファーした経緯は?

「新庄がトライアウトを受けることで話題になっていた時期に、新潟アルビレックスB.Cから私に監督就任のオファーがあり、それと同時に『新庄さんに興味があります』と、球団側から意思を伝えられました。
 NPBから声がかからなければ新潟アルビレックスで、というわけではなく、まずは独立リーグでも現役復帰する意思があるのか、森本稀哲を介して確認しました。『どこでもいいから野球をやりたいという思いがあるのなら、ぜひウチと交渉の席を設けさせていただきたい』と。
 今でも枠を空けており、可能性が0でないのなら、チームのワンピースを埋めてほしいと願っています」

――もし入団した場合、新庄さんにいちばん求めることは?

「NPBは興行でもあるわけで、新庄の商品価値は非常に高い。チームの戦力にもちろんなってほしいですし、その面からもぜひこの新潟の地をぜひ盛り上げてほしい」

――新庄さんのどの部分に魅力を感じましたか?

「もともと持っている身体能力は、ものすごいものがあるし、またプロ野球界の概念を変えた男でもある。
 敬遠球をサヨナラ打したり、オールスターでのホームスチールなど、ほかにもパフォーマンスや言動、ファッションなど、今までプロ野球界でタブーとされていたことを新庄はことごとくやってのけてきました。ファッションに関しても、『ジーパンが穿けなくなるから太ももは鍛えない』と言ったぐらいですから(笑)。
 当時は『ここまでやるのか』と思ったが、先駆者というものは何かしらのバッシングを受けるもの。新庄がいたからこそ、野球界に対して世間の見る目も変わってきましたからね。ファンの注目を集める力っていうのは、誰でもできることではないですからすごいですよ」

――新庄さんに今、伝えたいこととは?

「トライアウトに向けて、しっかりと準備してきたことをテレビやSNSを通して見てきました。『本当にプロ野球界に戻る気があったんだな』と思いましたね。
 新庄の全盛期を知っている人間からしたら、たしかに衰えてはいる。しかし待望論ではないけど、チャンスがあれば野球界に携われるところに戻ってきてほしい。新庄が指導者として戻ってきたら、野球界は相当盛り上がりますよ(笑)。
 ただ我々としては断わりの返事があるまで、新庄が選手として入団してくれることを信じて粘り強く待ちます」

 橋上監督のラブコールは新庄に届くか――。