大相撲初場所で、力士同士が激しくぶつかり、土俵上で脳震とうのようになって動けなくなったが、2021年1月19日の日刊スポーツ配信記事によると、相撲協会審判部は場所後に、新たなルール作りに取り組む方針を固めたという。

後遺症もありうる

問題の取り組みは初場所10日目の幕下の湘南乃海(22=高田川)−朝玉勢(27=高砂)戦。両力士の頭同士が激しく当たり、湘南乃海がフラフラになった。時間を空けて再取り組みしたが、初めてのケースだったので、こういう場合はどうすべきかルールが確立されていなかったという。

激しいスポーツの世界では、選手が脳震とうのような状態になることが少なくない。1月20日の朝日新聞の朝刊は、英国ラグビーの話を報じている。

それによると、ラグビーの本場の英国では、選手の脳に残る後遺症が問題になり、元選手9人が国際統括団体ワールドラグビー(WR)などに集団訴訟を起こす方針を固めているという。

記事の中では、元イングランドの代表で2003年のワールドカップ優勝メンバーのスティーブ・トンプソンさん(42)が登場。現在は脳に障害が出ており、自分が大会に出たことも覚えていないという。

イングランドラグビー協会の医学報告書によると、代表戦とリーグ戦を合算した18〜19年の統計で、1試合でプロ選手の約2割が脳震とうを経験しているという。

360を超える裁判例を掲載

こうした場合の責任はだれにあるのか――J−CASTは関連で『裁判例からわかる スポーツ事故の法律実務』(ぎょうせい、20年9月刊)を紹介済みだ。静岡県弁護士会が研究会のテーマとして取り上げ、2年がかりで全国の過去のスポーツ事故判例を総ざらいしてまとめたもの。

プロや社会人のスポーツだけでなく、学校のクラブ活動まで含めて多種多様のスポーツが幅広く網羅されている。責任の所在や損害賠償までわかりやすく解説され、巻末に一覧表として、「競技種目」「当事者」「事案の概要」「判決内容」などを盛り込んだ360を超える裁判例が掲載されている。紛争が起こった際にどのような判断がされたか一目で分かる。スポーツ関係者必携の一冊となっている。